28日の香港市場概況:ハンセン0.7%安で続落、「香港版国家安全法」採択で米中対立懸念

2020年5月28日 18:00

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記事提供元:フィスコ


*18:00JST 28日の香港市場概況:ハンセン0.7%安で続落、「香港版国家安全法」採択で米中対立懸念
28日の香港市場は値下がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比168.60ポイント(0.72%)安の23132.76ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が15.87ポイント(0.17%)安の9551.56ポイントとそろって続落した。売買代金は1326億9900万香港ドルに拡大している(27日は1108億8200万香港ドル)。

米中対立激化の警戒感が強まる流れ。ポンペオ米国務長官は27日、中国政府が香港の統制を強化する「香港版国家安全法」の制定に着手したことを受け、香港の「高度な自治」が維持されていないと議会に報告した。「香港の自治や自由を根本的に損なう行為」と中国を批判し、香港に対する貿易面などでの優遇措置を続ける状況にないと指摘している。同法案は全国人民代表委員会(全人代、国会に相当)日本時間午後4時ごろに投票し、圧倒的多数で採択された。ただ、採択自体は事前に予測されていたこともあり、指数は引けにかけて下げ幅を縮小している(ハンセン指数は一時2%超の下落)。

ハンセン指数の構成銘柄では、医薬品メーカーの石薬集団(1093/HK)が10.3%安、バイオ製薬・中医薬メーカーの中国生物製薬(1177/HK)が4.9%安、香港不動産系コングロマリットの太古A(スワイヤ・パシフィックA:19/HK)が3.8%安と下げが目立った。

セクター別では、香港の公益や消費が安い。香港鉄路(MTR:66/HK)が2.4%、中電HD(CLPホールディングス:2/HK)が1.4%、莎莎国際HD(ササ・インターナショナル・ホールディングス:178/HK)が4.0%、佐丹奴国際(ジョルダーノ・インターナショナル:709/HK)が2.7%ずつ下落した。

半導体や通信設備・工事など5Gネットワーク関連の銘柄も急落。中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が4.4%安、ASMパシフィック・テクノロジー(522/HK)が3.8%安、華虹半導体(1347/HK)が2.9%安、中興通訊(ZTE:763/HK)が5.3%安、中国通信服務(552/HK)が3.0%安、京信通信系統HD(2342/HK)が1.9%安と値を下げた。

半面、本土系の銀行セクターはしっかり。中国農業銀行(1288/HK)が2.6%高、中国郵政貯蓄銀行(1658/HK)が2.5%高、中国建設銀行(939/HK)が1.5%高、招商銀行(3968/HK)が1.3%高、中国工商銀行(1398/HK)が0.8%高で引けた。

一方、本土市場は反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.33%高の2846.22ポイントで取引を終えた。金融株が相場をけん引する流れ。レアアース株、食品飲料株、公益株、不動産株、海運株なども買われた。半面、ハイテク株は安い。医薬品株、消費関連株、自動車株、空運株なども売られた。

亜州リサーチ(株)《FA》

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