底堅いが一段高に向かう環境とは言えず/後場の投資戦略

2020年5月13日 12:28

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記事提供元:フィスコ


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;20210.54;-155.94TOPIX;1469.00;-7.72

[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は前日の米株安の流れを引き継いでスタートし、その後下げ渋る展開となった。日足チャート上では20100円台後半に位置する5日移動平均線水準を大きく割り込まず、まずまず底堅い印象。売買代金上位では日経平均への寄与が大きい値がさ株を中心に軟調で、半導体関連等のハイテク株も売られている。米中摩擦のコア分野とあって懸念が出やすいところか。業種別騰落率を見ると全般軟調ななか、銀行株が上昇し、原油相場の上昇により関連セクターもしっかり。医薬品株の上昇は新型コロナへの懸念が再燃しつつあることを窺わせる。ここまでの東証1部売買代金は前日と同じ1兆円ほど。新興市場ではマザーズ指数が3日続伸しており、やや上値は重いが中小型株の循環物色が続いている。

 東証株価指数(TOPIX)は0.52%の下落で前場を折り返し、後場は日銀によるETF買いが実施される公算が大きい。国内外での大規模な金融緩和が株式相場を下支えする構図は変わらないが、時間外取引の米株先物が軟調で、積極的な上値追い材料にも乏しい。後場の日経平均は下げ渋る場面もあるだろうが、戻りは限定的とみておきたい。

 さて、前日の米株式市場ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2.77%の下落となった。半導体関連株はこれまでGAFAM(アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)などとともに株式相場全体の戻りをけん引してきた存在だが、前述のとおり米中摩擦のコア分野とあって懸念が出やすいところ。コロナ禍でも堅調な業績が見込めるとして、比較的買い持ち高が積み上がっていたり、買い戻しが進んでいたりするとみられることも一段の株価上昇を目指すうえでネックとなる可能性がある。トランプ米大統領は株価睨みで対中強硬姿勢を緩めるとの期待が根強いものの、中国脅威論はトランプ氏の専売特許でなく、与野党議員にも広がっている点に注意する必要がありそうだ。

 また、日本企業でもトヨタ自や資生堂など新型コロナの影響による苦戦が鮮明となってきた。足元で日経平均の予想1株当たり利益(EPS)は1100円割れまで減り、株価収益率(PER)は18倍台まで上昇してきた。企業業績の落ち込みから回復にかけての局面では当然の動きと割り切る向きもあるが、上値の重しとして意識されているようだ。かねて指摘しているとおり、21000円前後の株価純資産倍率(PBR)1倍水準は企業業績の回復確度がある程度高まってこないと到達しづらい。

 新型コロナを巡っては注目されるファウチ氏の警鐘が重く感じられる。日経平均が一段高に向かう状況はまだ整っていないとみておきたい。(小林大純)《AK》

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