中国のキャピタルフライトとビットコイン価格の関係は【フィスコ・ビットコインニュース】

2020年4月17日 15:16

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記事提供元:フィスコ


*15:16JST 中国のキャピタルフライトとビットコイン価格の関係は【フィスコ・ビットコインニュース】
中国では2017年9月以降、当局がICO(新規仮想通貨公開)の禁止令を出して暗号資産(仮想通貨)取引所も一斉に閉鎖へと追い込まれた。人民元建てのビットコイン(BTC)取引は17年9月以前には全取引のうち9割以上を占めると見られていた。

規制当局の取り締まり以降、世界の暗号資産(仮想通貨)取引所における人民元建ての取引といった表立った数値はなくなったが、LocalBitcoinsといったP2P(個人間)の取引プラットフォームなどでは人民元建てのビットコイン取引が確認できる。当局による仮想通貨関連サイトへのアクセス制限もVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)接続などの手段で超える事は可能であるため、チャイナマネーはいまだ仮想通貨市場に存在していると考えられる。そこで、中国の資本収支の誤差脱漏を資金流出の代替変数として、BTCの時価総額とBTC価格の前四半期からの変化額と比較してみた。

人民元切下げがあった2015年後半から2016年にかけて、BTC時価総額はそれほど増えていない。一方、17年以降で見ると誤差脱漏とBTC時価総額の変化額との相関係数は-0.6で、17年後半と19年後半は中国からの資金流出の増加と同時にBTC価格が上昇した。18年前半には中国への資金還流が起こり、かつBTC価格は下落している。17年以降については、中国の誤差脱漏の30%強がBTC時価総額に影響したようにも見える。626億ドルの誤差脱漏があった2019年の第4四半期にはBTC時価総額が押し上げられてもおかしくないものの、実際には時価総額の減少幅が縮小するにとどまった(中国国家外貨管理局、CoinMarketCapより)。

一方で、外貨準備の変動が資金流出入を表すと見る向きも少なくないが、中国の外貨準備高の前月差とBTCの時価総額の変化額を比較してみた場合には、両者の間に期待していたような相関関係は認められなかった。中国の資金流出入と仮想通貨相場の動向を観測していくことは、中国における仮想通貨規制の緩和いかんによらず、今後も相場予想の手がかりのひとつとなる可能性があろう。《SI》

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