緊急事態宣言を、子供と共に考える

2020年4月11日 09:44

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 4月7日、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が発令された。遅過ぎる対応などといった批判の声もあるが、今必要なことは誰かへの批判ではなく、「何をすべきか」を各々が真剣に考えることだ。それは、社会のメンバーである子供達も同じである。

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■では、子供達は「緊急事態宣言」をどう捉えているか

 学校が休校になり外出は自粛、マスクは売り切れ人混みを避ける・・こう言った状況を、子供達はどう捉えているのだろうか。

 「遊びたい。」「外に出たい。」第一声は、子供達の正直な声が聞こえる。しかし、ではどうしたいかと尋ねると、「でも今はあんまり外に出ちゃいけないんだと思う。」意外にも冷静な答えが返ってきた。小学生高学年の声だ。小学2年生の息子に同様の質問をしてみたが、ほぼ同様の答えが返ってきた。

 もちろんそれが全てではないが、ニュースを見聞きし、大人の会話を聞いている子供達。学校の先生から今回の事態の説明を受け、いつもと違う日常を敏感に察知し、気をつけなくてはいけないという意識を持った子供がいたとすれば、大人達はそこで今回の件をどう捉えさせ、行動させていけば良いのだろうか。

■子供に芽生える倫理観・道徳心

 子供達は社会の一員として学校に通い、未来の社会を担うべく日々多くのことを学んで来る。そして、今回のこの令和史上に残る緊急事態にもまた、彼らは何かを感じ取り、考え、行動する機会を得ている。大人は自分の常識で、子供に芽生えた倫理観や道徳心を潰してはならない。学びは日常の生活の中にある。社会が一体になり、子供達の心を育てる大きなチャンスだ。

 「何故」今自粛が必要なのか。何がその根幹をなしているのか。子供達ととことん話し合って欲しい。そして日本のリーダーが発した緊急事態宣言を受け、自分達がどう行動したら良いのか、批判はさておき、今しっかりと考えて行動に繋げるべく、子供達を促していかなくてはならない。

■脆弱な危機管理能力が招く将来の子供達へのダメージ

 子供達の未来を考えてみよう。現在の日本の危機管理能力は概して低い。これは誰の目にも明白であり、国際的な日本の位置づけとしては死活問題となる。そしてそれは今後、世界に飛び立とうとしている子供達の足かせになるであろうことは間違いない。

 つまりこのままでは、日本人であるが為に世界から拒否されることもあり得ると言うことだ。国際化どころではない。文部科学省により今年度から施行される「グローバル化に対応した英語教育改革」以前の問題だ。

■自分に繋がる大切な人のことを考えて

 日本の緊急事態宣言には諸外国の様な強制力はなく、対応や行動、判断は全て「各企業」「各家庭」に委ねられているのは、マスコミのお陰で、良くも悪くも周知されている。しかし「強制力はないから」と自分だけのことを考えた行動は安易過ぎる。

 自分に繋がる大切な人達を守る為に、子供達の生きる未来の日本を、世界を守る為に、私達大人が子供と共に考え、教えられることは、きっと、まだ沢山あるはずだ。(記事:板垣祥代・記事一覧を見る

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