【どう見るこの相場】謎だらけの株式市場、謎解きから始まる4月の新年度相場は?

2020年3月30日 09:03

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■謎解きスタートの新年度相場は金関連株と買い溜め関連株でなお片足をディフェンシブに

 株式市場は、謎だらけである。謎に謎が重なって、株価が乱高下する。例えば海外メディアは、日本の新型コロナウイルスの感染者数が、先進国のなかでも特異的に少ないことを謎と報道した。陽性か陰性か感染を確認するPCR検査の検査数が少ないからなのか、それとも日本政府が主張する通りにクラスター(感染者集団)を特定し封じ込め「持ちこたえている」からなのか分からないと疑問を投げ掛けた。

 この謎にさらにもう一つの謎が重なる。IOC(国際オリンピック委員会)が、今年7月から開催予定の2020年東京オリンピック・パラリンピックの1年延長を決定した途端に、東京都での感染患者が急増し、都道府県別の感染者数で最多と悪化した謎である。安倍晋三首相も森喜朗大会組織委員会会長も小池百合子東京都都知事も、「開催ありき」を押し通しており、そこにまたまた何らかの忖度が働いていたのではないかともいぶかられた。その一方で、欧米からの日本人帰国者による第3次感染が始まったためとの反論もあり、謎は深まるばかりである。小池都知事が、外出自粛を呼び掛けた前週末も29日の1日当たりの感染者数も、68名と1日当たりで最多と増加しており、週明け以降はいつ「ロックダウン(都市封鎖)」とするか心配しなくてならないかもしれない。

 マーケットの内部でも、日本銀行が、ETF(上場投資信託)購入額を倍増させたことに絡む謎が指摘されている。もともとこの資産買い入れは、異次元金融緩和策以来、直接マーケットに働き掛けてインフレ・マインドを醸成し物価の上昇率を引き上げることを政策目標としていた。現在は、この政策目標は脇に置いて、株価を下支えするPKO(株価維持工作)により市場の下値不安を緩和し安定化を図るのが主眼になっているとみなされている。しかし、一部ではこの保有しているETFの損益分岐点は、日経平均株価の1万9500円で、これを割れば含み損となり、さらに1万8300円を割ると、日銀が経常赤字に陥り、黒田東彦総裁の責任問題になるとともに、政治介入による日銀の独立性が失われる危機意識からの組織防衛策との見方も交錯し、謎が謎を呼んでいる。

 また米国のダウ工業株30種平均(NYダウ)が、史上最大の2997ドル安と急落し、続いて2万ドルの大台を割った今年3月中旬に安全資産のはずの米国の10年物国債や金先物価格も売られて急落したことも謎であった。株価急落により追加証拠金の差し入れを迫られた市場関係者の換金売りを浴びたとマーケット・コメントされたが、資産形成・保全哲学の「インフレはモノ、デフレはカネ」のパラダイムシフト、あるいは「スタグフレーション(不況下の物価高)」をも示唆している可能性もあり、予断は禁物のようではある。

 謎解きから始まる4月の新年度相場は、この謎に的確に対応しなければ、良好なパフォーマンスは望めない。そこで今週の当コラムは、最悪ケースも想定しなお片足をディフェンシブ・スタンスに置くこととした。注目したのは、実物資産の裏付けのある究極の安全資産の金価格関連株と、「インフレはモノ」を前提とする買い溜め関連株である。とくに買い溜め関連株は、所管大臣や業界関係者が相次いで十分な商品の安定供給を明言しながらも、一部店舗でコメの陳列棚が空っぽになったと伝えられるなどパニック買いもみられており、ひょっとすればひょっとする謎になるかもしれない。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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