資産を守るために 投資の補償制度を知ろう

2020年3月27日 12:09

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 全ての投資に補償があるわけではない。例えば、私たちの預金は1つの金融機関につき元金1,000万円まで補償される。投資をする場合にも補償があるため、どんな投資方法でも最低額の補償があると思い込み、失敗しないように気をつける必要があるだろう。

■預金者保護法

 金融機関が破綻した時に、1つの金融機関につき個人の預金が1,000万円まで補償される制度だ。金融機関にもしもの事態が起きた時に、預金保険機構から保険金が払われる。この保険金が我々の預金を守ることになるのだ。1,000万円を超える額は、一部カットされる可能性があるにせよ、1,000万円の補償があれば大きいだろう。

■投資者保護基金

 「投資者保護基金」との言葉を聞いたことがあるかもしれない。金融取引法の下で、証券会社を用いて投資を行う人を保護する仕組みだ。証券会社になにかあった場合、投資者を保護するため上限を1,000万円と決めて補償をする制度。制度が整っていることに安心して投資をしてもらうためのシステムだ。

●投資者保護基金が使えない場合

 プロの投資者を除いた、一般の投資家が保護の対象だ。他人名義での取引をしている場合も保護からは外れる。証券会社以外の銀行などで投資信託を購入した場合も、対象から外れるだろう。要注意だ。

●証券会社の取引で投資者保護基金の補償が受けられない場合

 ・有価証券店頭デリバティブ取引
 ・海外取引所での有価証券市場デリバティブ取引
 ・FX取引

 など、証券会社を通して行った取引でも、補償が受けられない場合がある。

■分別管理

 証券会社を用いた取引でも、この基金が利用できない場合、「分別取引」での保護が考えられる。投資家から預かった資産と会社の資産を分けることで、会社が破綻した場合でも投資家の資産を守る制度であり、証券会社などには義務付けられている。銀行で投資信託をした場合も投資者保護基金の利用はできないが、「分別管理」をしていれば個人の資産の保護が可能だろう。

■投資者保護基金の注意点

 証券会社を通して株式や投資信託を売買している時に、証券会社が破綻すると補償される制度を説明した。この制度には注意点がある。株価や投資信託の値が下がり損をした時に補償を受けられる制度ではない。資産を守るためにある制度だが、価値を守るための制度ではないことに気をつけよう。

 資産を運用するときは、各証券会社や銀行で補償の仕組みをよく確認し、必要に合わせて分割するなどの対策をしておく必要があるだろう。資産の大部分を預けた会社が万が一破綻したときに、財産が戻ってこないことのないように。

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