ロシアは調停の大国として中東に君臨する、ソレイマニ司令官殺害から見る中東力学【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

2020年1月14日 16:45

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記事提供元:フィスコ


*16:45JST ロシアは調停の大国として中東に君臨する、ソレイマニ司令官殺害から見る中東力学【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
ロシアと中国の連携、中国による北朝鮮の支援は、いずれも国境を接していることから、連携や制裁逃れを容易にしている。イランの場合は、ロシアと中国と国境を接していないため、決定的にアメリカの制裁を逃れることができない。陸地を接していない国境をまたぐ物の動きをアメリカは見逃さない。ロシアや中国とイランが連携を行うことを宣言しても、同盟などの強い外交関係を築かない限り、イランを救えるようなものにはならない。そもそも、国境を接していないため、制裁回避のための手段は必然とコストが高くなる。このような状況を考えると、イランが中国やロシアに提供できる「餌」のオプションもほぼ資源と対米姿勢しかないため、中国やロシアがアメリカのより強い経済制裁のとばっちりを受ける可能性を甘受しながら、決定的に深入りを決心できるのかが不透明である。

しかし、中国・ロシアにとって、確実にイランがなびくというのは中東におけるアメリカの梃になることは確実であるためこれを使わない手はない。ただし、中東の複雑なダイナミック(宗派なども含む)で一方の肩を持つことは難しいと思われるため、特にロシアは調停の大国として中東に君臨するというのが基本戦略になると考えられる。

地経学アナリスト 宮城宏豪
幼少期からの主にイギリスを中心として海外滞在をした後、大学進学のため帰国。卒業論文はアフリカのローデシア(現ジンバブエ)における経済発展と軍事支出の関係とその周辺の要因についての分析。大学卒業後は国内大手信託銀行に入社。現在、実業之日本社に転職し、経営企画と編集(マンガを含む)も担当している。歴史趣味の延長で、日々国内外のオープンソース情報を読み解いている。《SI》

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