ウミホタルを餌に発光する生物を発見 中部大などの研究

2020年1月12日 18:25

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キンメモドキの発光メカニズム(写真:科学技術振興機構(JST)の発表資料より)

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 ホタルやチョウチンアンコウなど、発光する生物は数多く存在する。中部大学は9日、キンメモドキが、ウミホタルを摂取することで発光することを突き止めたと発表した。

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■多くの種がもつ発光メカニズム

 生物の発光はさまざまな種において確認される現象だ。とくに海洋中の生物のうち76%が発光可能だという。

 発光メカニズムは種によって異なる。たとえば、チョウチンアンコウは共生バクテリアにより発光する。このような生物の発光は触媒であるルシフェラーゼがルシフェリンと化学反応することで生じる。だが魚類からルシフェラーゼの遺伝子が特定されないなど、どんな発光メカニズムが働き、それが進化したのかほとんど明らかにされてこなかった。

■餌からたんぱく質を盗むプロセスの発見

 中部大学と米モントレー湾水族館研究所、名古屋大学の研究者らから構成されるグループが注目したのが、日本近海に生息するスズキ目のキンメモドキだ。キンメモドキは甲殻類のウミホタル類を捕食することで、基質であるルシフェリンを獲得することが、2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩氏らによって示唆されていた。だが、ルシフェラーゼの獲得経路については未解明なままだった。

 研究グループは志摩マリンランドや横浜・八景島シーパラダイス等の水族館のキンメモドキを調査した結果、ウミホタルから基質と触媒の両方を獲得していることが明らかになった。ルシフェラーゼのアミノ酸配列を解析したところ、トガリウミホタルのルシフェラーゼに由来することが判明したという。

 キンメモドキはウミホタル類のルシフェラーゼ遺伝子をもたないことが示唆されているため、魚類と甲殻類のルシフェラーゼが同一であることに研究グループは驚いたという。検証の結果、餌のウミホタル由来のルシフェラーゼであることが確認された。

 餌からたんぱく質を盗む現象は、生物発光だけでなくすべての生命現象で世界初の発見だという。今回の研究成果から、インスリンや抗体医薬等のたんぱく質性医薬品を飲み薬にする道筋が加速されることに、研究グループは期待を寄せている。

 研究の詳細は、オンライン科学誌Science Advancesにて9日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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