第一興商の「資産活用」法は功を奏するか

2019年12月28日 15:52

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(画像: 第一興商の発表資料より)

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 2018年12月4日の財経新聞ライフ欄に<カラオケが介護に果たす役割>という表題で、カラオケ業界首位の第一興商が「音楽を武器」に介護業界に進出したことを記した。そして最近、こんな事実を知った。

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 第一興商は2019年11月29日から『オフィスボックス』事業を、自社が運営するカラオケルーム「ビッグエコー」で開始した。「オフィスボックス」は、カラオケボックスをワークスペースとして展開する事業。17年4月から有楽町や品川など都心の約50店舗で実証試験を経ての本格参入。

 オフィスボックス事業を始めたきっかけを同社では、「場所にもよるが、平日の昼間は空室の目立つ店舗がある。そこで空室対策として仕事で場所が必要な方のために開放しようと考えたのが発端。もう一つは『働き方改革』の推進。働く人に場所を提供することで、当社も『働き方改革』に一役買えるのではないかと考えた」としている。

 ドロップインでの利用も可能。法人契約もOK。法人からの反響が大きいという。

 契約した法人には無料でオフィスボックスのアプリを提供。アプリには会社の社員ナンバー等IDが割り振られ、利用ごとの会計が不要。利用料金は企業に一括請求する。オフィスボックスを利用した際には、利用店舗・時間がデータとして記録される。

 第一興商では法人の管理者にその利用データを提供する。そうすることで経費精算の効率化、かつ勤怠管理に役立つ。アプリは先月リリースし、既に数社の導入が決まっている。

 テレワークの場だけでなく、打ち合わせや会議に利用することも可能。第一興商では「ビジネスマンには『たった数百円の出費のために会社に経費報告するのは気が引ける』、『飲食代を会社に払ってもらうことにためらいがある』という理由から、打ち合わせをカフェや飲食店などで行った際に経費の精算がやりづらいという現状があった。しかし『オフィスボックス』を利用した際にアプリやレシートに用途がしっかりと明記されることで、利用者の心理的にも経費精算をしやすくなる」とする。

 さすがは「音」屋という設営もなされている。一部店舗では、ヤマハのリモートワークに最適なポータブルスピーカーフォン(YVC-200)の貸し出しサービスも行う。「例えばネットでWEB会議等を行う際、パソコンのスピーカーでは音が不鮮明になったりすることがある。スピーカーフォンをパソコンにつなぐことで、話し手の声を鮮明に拾うことができる」という次第。

 「当社の社内研修の際にも、ビッグエコーを使っている」という。トレンドを敏感に察知し常に業界の数歩先を歩んできた第一興商は、新規事業で今後どんな展望を視野に入れているのか。

 「現在の設備でもテレビモニターやプロジェクターで中継し、テレビ電話のような感覚でわざわざ会社に行かなくても会議を行うことができる。そうした使い方の認識が広まれば働き方改革もさらに進むのではないか。机やソファはまだカラオケ仕様だが、オフィスボックスのニーズが今後ますます高まるようであれば、会議用のファシリティも用意したい。カラオケといえば今は歌を歌うところだが、これからは『働く場所』としても浸透していく仕掛け人になりたい」としている。

 「オフィスボックス」は果たして、人々がカラオケボックスに抱くイメージに一石投じる存在となるか。第一興商の「資産」活用は功を奏するか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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