チンパンジーのオスは音楽への反応を独自に進化させた 京大の研究

2019年12月27日 21:08

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実験の概要(写真:京都大学の発表資料より)

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 ヒトと遺伝的に近接したチンパンジーは、ヒトの知性の進化を研究するうえでのヒントになっている。京都大学は24日、チンパンジーを音で刺激することでリズミカルに身体を運動させることを発見したと発表した。オス個体のほうが反応が強いことも同時に判明した。

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■動物共通の基盤だと判明した音楽

 ダンスや合唱等の音楽は、ヒトの普遍的な活動だと考えられている。これらの活動の進化的な起源は不明な点が多いという。

 音楽やそれに対する反応はヒト独自の文化や能力であって、進化的な意味はないとみられてきた。近年、音声コミュニケーション能力の高いオウムは音楽にあわせてダンスをするという報告があるなど、動物に共有された行動であることが徐々に明らかにされてきた。だが、ヒト以外の霊長類では音楽にあわせてどの程度リズム運動するかについて、あまり明らかにされてこなかった。

■チンパンジー独自で進化した音楽への反応

 系統発生的にヒトにもっとも近い種のひとつがチンパンジーだ。京都大学霊長類研究所の研究グループは、チンパンジーにリズム音等の聴覚刺激すると、リズミカル身体運動が誘発されるかについて調査した。

 実験室内でチンパンジーに8ビートのリズム音を2、3分間聞かせたところ、すべてのチンパンジーが体の揺れや頭の振り、拍手や足踏みなど、リズミカルな運動を行うことが確認された。なかには、発声する個体も確認されたという。またオスの個体のほうがメスよりも反応が大きいことが判明した。

 野生下ではオス同士が協力して縄張りを守る際、音を用いてコミュニケーションをとる。今回の研究成果はこれらの観察とも一致しているという。

 ヒトの場合、音の反応に対するオス・メス間の顕著な違いはみられない。そのため、ヒトの共通祖先から分岐後にチンパンジーのオスは音に敏感に反応するよう進化し、音声によるコミュニケーション能力を発達させたのではないかと、研究グループは推測する。

 今後は、ヒトやチンパンジー等の霊長類の音楽性をさらに調査することで、音楽を発達させた進化的な背景を明らかにしたいとしている。

 研究の詳細は、米国科学アカデミー紀要にて24日にオンライン掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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