QBネット、店舗人材の育成と国内外の出店強化で売上収益300億円へ挑む

2019年12月15日 20:07

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 キュービーネットホールディング(以下QBネット)が3日に発表した売上高速報によると、今期累計(7~11月)の国内店舗売上高は、既存店が前年比108.3%、新店を含む全体で109.5%と、好調を継続している。

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 今年2月から国内主力のQBハウスで、1,080円(税込)から1,200円へと11.1%の値上げを実施したが、値上げによる客離れは少なく、売上増に貢献した形となった。

 1995年、Quick BarberをInternetの仕組みを活用して多店舗展開していくという想いを込め、QBネット株式会社として創業。翌年には、短時間・低価格のヘアカットサービスを、好立地で予約なしのシステムとして提供するQBハウスの1号店をオープンし、多店舗展開を目指して国内出店を始めた。

 2002年、最初の海外出店として、シンガポールへ進出。以後、香港、台湾、アメリカへと順次QBハウスのグローバル展開を開始した。

 2011年、予約なし、低価格のヘアーサロン新ブランド「Fass」をオープン。同年、店舗にくることが困難な介護福祉施設、病院などへの訪問理美容も開始。

 2012年、多店舗展開を支える人材育成のためのスタイリストスクールを東京に開校、順次大阪、名古屋、福岡、仙台へと拡大した。2016年、持株会社体制へ移行し、キュービーネットホールディングス株式会社となった。

 ビジネスモデルに磨きをかけ、人材育成に力を入れて世界へ飛躍しようとしているQBネットの動きを見ていこう。

■前期(2019年6月期)実績と今期見通し

 前期実績は、売上収益が208億円(前年比8.2%増)、営業利益が前年よりも3億円増の20億円(同20.0%増)であった。

 営業利益増加は、価格改定を行った2月も既存店売上高が前年比109.9%を記録するなど、売上収益が堅調に伸びたことで粗利が6億円増加した一方、人件費を中心とする販管費が3億円の減益となった結果だ。

 今期は売上収益223億円(同7.1%増)、営業利益22億円(同11.7%増)を見込んでいる。

■中期経営計画(2020年6月期~2024年6月期)による推進戦略

 2024年6月期の売上収益300億円(対前期比44.2%増)、営業利益33億円(同65.0%増)を目指して、人材を育成し、国内、海外の出店を強化する戦略を推進する。

 1.人材育成拠点の拡充: 今後の国内出店の人材確保に向けて、既存校5校の拡充に加え札幌、広島、首都圏サテライトを新設し、5年間で650人のカット技術者を育成する。

 2.国内出店強化と新業態の拡大で、売上収益を2019年の175億円から2024年に245億円を目指す。
 ・QBハウス店舗数: 2019年554店 -> 2024年670店
 ・新業態(FassとQB PREMIUM)の拡大: 13店 -> 30店

 3.海外拠点の拡充で、売上収益を2019年の33億円から2024年に55億円を目指す。
 ・シンガポール:36店 -> 40店
 ・香港:61店 -> 80店
 ・台湾:27店 -> 50店
 ・アメリカ:3店 -> 15店
 ・新地域:0 -> 15店

 4.サービス価値の向上: 待ち時間解消、予約、カットカルテ、事前決済の導入に向けてアプリ開発と店舗投資を実施。

 10分1,000円という理美容業界の新しいビジネスモデルへ挑戦して20年余りで、人材育成に力を入れ、ビジネスモデルへさらに磨きをかけ、国内・世界で躍進を目指すQBネットの動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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