ホッチキスのマックスが持つ多面的な顔

2019年12月11日 09:15

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2019年7月に発売された軽とじホッチキス「HD-10TL」(画像: マックスの発表資料より)

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 ホッチキスで紙を止めようとしたら「かちゃ」という空音。針がない。買い置きも忘れていた。日曜日の午前7時前。「コンビニならあるかな」と思い、近場のローソンにテクテク。あった。フタケース入りで154円。

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 家に戻る途中フッと思った。「マックスの商品はホッチキス&針ぐらいしか知らないな。まさかこれだけで上場企業の看板を背負えるわけではないだろうし」と。紙綴じも忘れて、どんなものを作っている会社かを調べた。

 主要事業部門は「オフィス事業:ホッチキスを中心にした文房具」「機工品事業:エア工具・充電工具・コンクリートツール(コンクリート用釘打ち機)」「住宅環境機事業:浴室暖房換気乾燥機や床暖房システム等」「AF事業:農業・食品分野の結束機器(梱包機)」「オートステープラ事業:デジタルプリント調整機器」。

 とりわけ現在、「ツインタイン」というコンクリート構造向け工具/鉄筋結束機(鉄筋の結束を瞬時に行い手作業に比べ格段の効率化を実現)に、アナリストやファンドマネージャーの関心が高いという。

 7月29日の第1四半期のアナリスト等向け決算説明会電話会議では、10の質問が発せられたがそのうちの7つは、鉄筋結束機に関するものだったことに顕著。会社側では「北米向けの伸び率が顕著。欧州向けで為替変動の影響は受けたが、売上高は前年同期を上回った」といった具合の答えを返している。

 そうした背景から、収益も好調。前3月期の「2.9%増収、16.5%の営業増益、8.8%の最終増益、2円増配44円配」に対し今期も「3.2%増収、4.2%営業増益、3.7%最終増益」計画で立ち上がったが、中間期開示時点で売上高こそ0.5%増と縮小も「営業利益10.5%増(79億円)、純益6.6%増(54億円)」と株式市場に好サプライズを提供した。ちなみに本稿作成中の時価(2000円円台入口)まで過去3年間の株価パフォーマンスは、+60%近くに達している。

 ところでマックスを諸々調べて、最も興味を覚えたのは「ホッチキス」にまつわる諸々の話だった。例えば以下の様な具合である。

★日本で初めてホッチキスを扱ったのは、オフィス家具などで知られる現在のイトーキ。明治36年(1903年)に、米国製製品を売り出した。

★マックスが国産初の小型ホッチキスを発売したのは1952年(昭和27年)。以来、累計で5億台超を販売している。

★ホッチキスの発案者とされているのが(絶対的根拠を示す資料等はない)、ベンジャミン・B・ホッチキス氏(1826年―1886年)。「銃身回転式機関砲」等で知られる、米国の銃器設計者。マシンガンの弾送りがヒントになり、ホッチキスの設計・開発に至ったとされている。

★ホッチキスで束ねた紙は、針がついたまま再生紙とすることが可能。

 世の中に知られる企業には、調べ方いかんで諸々の顔が見えるものである。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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