【どう見るこの相場】終活関連株の出番が予想され、敢えて分散投資を選択

2019年12月9日 11:30

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■老熟投資家が、共通して食指を動かすかもしれないテーマ株とは?

 これはバッシングであり、まるで「いじめ」のようだ。受難者は、高齢者である。高齢ドライバーが、急発進事故や逆走事故を起こすたびにテレビ、新聞のマスコミがいっせいに騒ぎ立て、これでもかこれでもかと免許証返納キャンペーンの嵐となる。高齢者の多くが乗る軽乗用車は、相対的に事故率が低いにもかかわらず、リスペクトもされず心穏やかではいられない。

 受難は、これだけに止まらない。医療保険の後期高齢者の自己負担率を2割に引き上げようとしている。加齢現象で身体のそこここにガタがきているのにこれでは診療抑制、診療拒否である。さらに年金に物価スライド条項を厳格運用して年金給付額を削ることに汲々とし、そのうえ消費税増税の追い打ちをかけるからオチオチしていられない。「長生きは悪だ」といわれているように感じる。

 しかし、こうも高齢者をないがしろにするのは考え物だ。高齢者の実力は侮り難い。代表は金融資産である。60歳以上の高齢者が保有する金融資産は、全家計が保有する全金融資産の65%を保有し、その額は1000兆円を超えているとの調査結果がある。この金融資産がムーブメントを起こせば、金融市場や経済情勢、新ビジネスの創生など大きな影響を与える可能性もあるのであり、株式市場も例外ではない。

 もっとも高齢者の保有する金融資産の50%超は、安全第一で預貯金に配分され、株式、投資信託、債券などの有価証券投資は、15%~20%にとどまる。しかしリッチな高齢者が、マーケットに新たに進出してくるようならまったく別の相場シーンが展開されることも想像される。いやすでに進出済みで、数々の修羅場を駆け抜け、リスクを厭わずにグロース株(成長株)一本で果敢に値幅取りを狙う歴戦の強者もいるかもしれない。またNISA(少額投資非課税制度)の導入とともに株式投資に初参戦し、配当取り・株主優待制度取りのインカムゲイン優先でバリュー株(割安株)を中心に運用しているケースも想定される。

 またまた前置きが長くなったが、そこで今週の当コラムでは、こうした老熟投資家が、共通して食指を動かすかもしれないテーマ株に注目してみた。終活関連株、エンディング産業株である。週明けの全般相場は、前週末の米国株が大幅反発したことを受け、買いスタートしグロース株中心に全面高の可能性もあるが、今週は、12月15日の米国の対中制裁関税第4弾の発動日などの不透明イベントが数多く控えていることもあり、究極のバリュー株の終活関連株の出番も予想され、敢えて分散投資を選択するのである。

 これから冬本番の厳冬期を迎え、学級閉鎖などのインフルエンザのパンデミック(感染流行)などが発生すれば、高齢者にとって余り歓迎できないが生活実感として「多死社会」はより身近になるはずだ。折から終活関連株は、業績の上方修正などで年初来高値まで買い進まれる銘柄も出て、投資チャンスを示唆しており、あるいは預貯金に滞留している金融資産の流入も期待できるかもしれない。来年は、安倍晋三首相の「桜を見る会」は中止となるようだが、自分流の「桜を見る会」を楽しみに終活関連株で越冬作戦にトライするのも、一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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