れいわ新選組もエールを送る現代通貨理論:MMTへの素朴な疑問

2019年12月6日 09:54

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   米国発の現代貨幣理論:MMTが日本に上陸したのは、およそ1年前。麻生太郎財務相は「論外」と切って捨てた。が、例えば自民党の西田昌司参議院議員は昨年、毎日新聞になる持論を寄稿した。「多少なりとも議論の俎上に載っている以上は」と思い、読んだ。

 MMTとは一口で言えば「一般的な家計と国の財務は別物。政府の債務は国民の資産となるため、自国通貨による国債発行/借金が増えても問題ではない」という論法。正直、幾つかの疑問を禁じえなかった。が、疑問は既に複数の筋から指摘されていたのでスルーしてしまった。

 だが今回、先の参議院議員選挙で2人の障害者を参議院に送り込んだ、れいわ新選組の山本太郎代表が「MMTに前向きな考え方を示している」と知り、先の参議院議員選挙でのれいわ新選組の公約を見直してみた。『政権をとったらすぐやります 今、日本に必要な緊急措置』という但し書き?付きではあるが、こんな内容が記されていた。

★消費税廃止: 参議院調査情報担当室の試算では、消費税をゼロにした6年後には1人当たりの賃金は44万円アップ。

★奨学金チャラ: 555万人を奨学金徳政令で救う。返済資金は必要な消費に廻してもらう。

★全国一律!最低賃金1500円を政府が補償: 年収200万円以下の世帯をゼロにする。

★デフレ脱却給付金: 1人当たり月1万円/2人世帯なら月6万円/3人世帯なら月9万円・・・。

 で、問題の「財源」についてはこう印している。

★財源は税収が一般的。だがデフレ期には別の財源を活用。新規国債の発行による財政出動を行い、生活を支え積極的に経済を回す。経済成長すれば当然、税収は増える。

★国債発行は無限ではない。リミットがある。インフレ目標2%を達成するまで。到達後は金融引き締めで増税まで必要な場合には、応能負担(税の基本)に還り法人税にも累進性を導入する。

 耳当たりの限りでは「良い」気もする。が、以下のような指摘に山本代表は、どう答えるのだろうか。誰もが理解しやすい説明を是非、伺いたい。

 「少子高齢化の進捗は、人口が減る一方で医療や介護費用がかかる人が増える。パイは限られていくのに食べる人が増えるという構図を、MMTでどう説明するのか」

 「物価上昇率(インフレ率)が一定に達すれば国債発行を辞めるというが、そもそもインフレ率抑制(ハイパーインフレ抑制)ができるかどうかは時限の違う問題」

 如何でしょうか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る

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