末梢血単核球による脳梗塞治療の細胞療法を開発、新潟大などの研究

2019年11月20日 16:54

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単核球投与後の脳内の血管新生増加と神経軸索伸展。(画像:新潟大学発表資料より)

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 脳卒中は恐ろしい疾患である。その脳卒中がもたらす脳梗塞は現状では治療困難であるとされているが、その筋道を開くと期待されている「細胞療法」というものがある。今回の研究は、その細胞療法を、iPS細胞や培養幹細胞でなく血液中の単核球(白血球の一分画)によって行うというものである。

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 研究は、新潟大学脳研究所神経内科学分野の畠山公大特任助教、金澤雅人准教授、二宮格大学院生、小野寺理教授、岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野の下畑享良教授らの共同研究によって行われた。

 日本人の死因の中で、脳卒中の占める順位は第4位である。そして寝たきりの原因になる疾患としては第1位となる。社会の高齢化に伴って脳卒中の患者は増え続け、3人に1人が発症する時代が来たと言われている。

 また、脳卒中によって血管が詰まって脳梗塞になると後遺症が重くなり、それに関わる医療費は日本だけで年間2兆円に及ぶとされる。しかし主な対策はリハビリだけで、治療と言うほどの治療はまだ実用化されていない。

 脳は極めて複雑な器官であるため、単一の物質などを標的とする治療では、脳梗塞の治療は難しいと考えられている。そこで、治療効果のある細胞を投与することで損傷部位を修復する細胞療法の研究が進められている。

 実際、ミクログリアという細胞は脳梗塞を起こした脳を修復する機能を持つ。ただ問題は、ヒトのミクログリアはヒトの脳の中にしか存在せず、生産する手段がないということである。

 そこで、そのミクログリアに似た性質と機能を持つものとして、着目されたのが末梢血(普通の血のこと)の中に存在する単核球である。

 脳梗塞のラットに一定の刺激を与えた単核球を与えたところ、脳関門を突破して脳内に入り込み、修復を開始することが実験によって確かめられた。また、運動・感覚機能の回復も確認された。

 研究の詳細は、Scientific Reportsに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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