NYの視点:米Q3労働生産性、4年ぶりのマイナスに落ち込む、FRBは織り込み済み

2019年11月7日 07:36

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記事提供元:フィスコ


*07:36JST NYの視点:米Q3労働生産性、4年ぶりのマイナスに落ち込む、FRBは織り込み済み
米労働省が発表した7-9月期非農業部門労働生産性速報値は前期比年率‐0.3%と、予想外に2015年10−12月期以降ほぼ4年ぶり初めてのマイナスに落ち込んだ。前年同期比では+1.4%と、前期の+1.8%から伸びが鈍化。昨年10−12月期以来の低い伸びとなった。労働市場のひっ迫で賃金コストが上昇し、生産性を押し下げた。7-9月期単位労働コスト速報値は前期比年率+3.6%と、4-6月期+2.4%から伸びが加速。前年比では+3.1%と、2014年初旬来で最大を記録した。

同時に、7−9月期経済の成長の伸びの減速を反映。昨年トランプ政権が実施した減税が持続して生産性を押し上げられるかどうかに疑問も広がっている。

一方、クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長は最新のテクノロジーや人口知能(AI)が潜在的に効率をあげると期待している。クオールズ副議長は先週の講演で、長年低迷したのち、上半期の生産性が加速したことには励まされるとし、このトレンドが長期的な経済の潜在的な楽観的見方につながっていると指摘。

米国の連邦準備制度理事会(FRB)の中でもパウエル議長、クラリダ副議長と同様に影響力が強いNY連銀のウィリアムズ総裁は6日の講演で、「最近の弱い生産性関連指標は懸念していない」と言及した。本年の3回の利下げが「リスクを相殺する」として、年内の金利据え置きを示唆。今後の政策は指標次第との考えを示した。シカゴ連銀のエバンス総裁も「FRBの政策や経済は良好な位置にある」と、政策据え置きを示唆した。ドルも上昇基調を維持すると見る。《CS》

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