LGBT(性的マイノリティ)に対する優しさの広がり

2019年10月14日 20:27

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 リクルートの不動産総合情報ポータルサイトSUUMOに「LGBTフレンドリー」の項目が追加されたのは、2017年8月。LGBTは、性的マイノリティの人たちの総称。LGBT者のマンション等の入居・購入に立ちはだかる壁を十二分に配慮した上での施策だった。「LGBTを理由に入居を拒否しない物件」として掲載された部屋が検索できる。

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 導入当初から18年3月までの掲載物件は2万2972件。それが今年3月時点では4万7227件に増えている。そしてSUUMOの調査では、対象の掲載物件への問い合わせ率(掲載数に対して、サイトユーザーが不動産会社に電話やメールで問い合わせた割合)は、非掲載物件の3倍近いことが分かった(昨年末時点)という。

 SUUMO編集部では「絶対数こそ少ないが、ニーズの高いことを如実に証明している」としている。

 私が四半世紀近くに亘り「株原稿」を月に1回投稿している週刊紙に、「全国賃貸住宅新聞」がある。同紙が9月16日号で<広がるLGBT支援―対応可能な仲介店が全国で増加>の見出しにて、全国の「LGBT対応可能な賃貸住宅仲介店」をフォローしている。読み込んだ。嬉しかった。

 昨今、LGBTに対する行政の姿勢も変化をし始めている。友人にLGBT者がいる。私と同じ年。時代から考えると彼は恵まれていたと思う。亡き母上が幼い頃にそれを見抜き、「女の子として育ててくれた」といまでも彼は泣く。

 そんな友人に恵まれたからこそ、世の中のマイノリティ(少数派)に妙な偏見・違和感を覚えることなく今日に至れたと思う。柄にもなく感謝している。

 そんな彼が30代の頃だっただろうか「彼氏」と一緒に暮らそうとし、「部屋が見つからない。どこに行っても門前払いだ」と嘆いた時があった。知恵を絞って互いの友人が勤務していた某自治体の公営住宅に、友人が保証人となりなんとか乗り切ったことがある。そんな経験があるから、件の新聞で読んだ「仲介店」の実態を読み嬉しくなったのだ。

 例えば福岡市の三好不動産。「3年前からLGBTと取り組む」というキャプション付きで三好修社長の写真も掲載されていた。当初は博多駅前店でのみスタートしたが「大事なのは社員の理解。限られた社員ではなく、会社全体で取り組むべき。業界にも広まって欲しい」という考えから、社員研修の徹底を行い現在では19の全店舗で接客応対しているという。

 ちなみに3年間の仲介成約は40件。専用のフェイスブックページを含めると、問い合わせ件数は約150件に達するという。また「(LGBT者に)部屋を貸したい」という家主からの申し出も増えているという。

 昨今、障害者雇用の推進が図られている。良い社会の条件の一つは「弱者に優しい」ことと考える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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