奄美群島の固有種カエルに見られる種分化プロセス 東京農工大などの研究

2019年10月2日 08:24

印刷

アマミハナサキガエルの分化の模式図。(画像:東京農工大学発表資料より)

アマミハナサキガエルの分化の模式図。(画像:東京農工大学発表資料より)[写真拡大]

 アマミハナサキガエルは奄美大島と徳之島の固有種である。この二つの島は、生息している他のカエルの種類が違う。

【こちらも】神大、奄美大島で新種の菌従属栄養植物「アマミヤツシロラン」を発見

 奄美大島にはオットンガエルという大型のカエルがいるが、徳之島には競争相手と言うべき他のカエルがいない。その結果として奄美大島のアマミハナサキガエルは小型化し、徳之島のそれは大型化している、このことは両群が別の種に進化していくその過程にあることを意味するという事実を、東京農工大学などの研究グループが突き止めた。

 研究は、東京農工大学の小峰浩隆特任助教と梶光一名誉教授、森林総合研究所の亘悠哉主任研究員らによるもの。

 オットンガエルというカエルも奄美群島固有種なのだが、生息する島がアマミハナサキガエルとは異なる。オットンガエルは奄美大島の他、加計呂麻島に生息する固有種である。体長はオスの方がやや大きいがだいたい12センチメートルほどである。

 これに対しアマミハナサキガエルは、オスが5~7センチメートル、メスが7~10センチメートルほどである(こちらはメスの方が大きい)。

 進化という現象の多くは、地理的隔絶を引き金として起こるものであることはよく知られている(例外もあるのだが極めてまれである)。しかし過去の研究で、アマミハナサキガエルが異なる島に暮らしていることの進化的意味合いが検討された例は、なかったという。

 しかし両島は競争相手となる別のカエルの種類が異なるという特徴があるため、研究グループはそれぞれの生態系に合わせた形態や生態の変化が生じているのではないかと予測した。

 両島とも、カエルの餌となるものについては、さしたるほどの違いはなかった。しかし競争がない徳之島では、アマミハナサキガエルはより大型の餌を捕食し大型化しており、奄美大島ではその逆であるという事実が分かったという。

 なお本研究については、Zoological ScienceのWeb版にEarly View版が公開されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワード東京農工大学

関連記事