IoTによる森林の鳥獣害対策、有効性を検証 KDDIなどが静岡の山林で

2019年8月23日 08:39

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実証実験の概要(KDDI発表資料より)

実証実験の概要(KDDI発表資料より)[写真拡大]

 KDDI総合研究所とKDDI、常葉大学、国土緑化推進機構は共同で、IoT技術による森林の鳥獣被害軽減の有効性を検証する実証実験を、8月より開始すると発表した。

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 鳥獣害による森林被害は、年間約6千ヘクタールにも上るとして、大きな社会問題となっている。植林地域では、シカが植林を食害するため、防鹿柵が設置されている。しかし防鹿柵は、シカなどの動物や倒木が破損を引き起こし防御機能が損なわれるため、定期見回りでの修復が必須となっている。

 この防鹿柵の定期点検の負荷削減のため、カメラによる遠隔監視も始まっているが、防鹿柵は広大な面積をカバーする必要からカメラの設置基数も膨大となり、費用面での負担が普及の課題となっている。

 そこで、IoT技術を用いて低コストで防鹿柵を遠隔監視するシステムを構築し、静岡県の植林地域で実証実験を行う。実験では、防鹿柵に加速度センサーと無線通信モジュール搭載の振動検知センサーデバイスを一定の間隔で設置し、柵の揺れデータを収集する。

 実験フィールドはモバイル通信の圏外となっているため、センサーでネットワークを構築し、モバイル通信可能エリアのゲートウェイ装置を利用して、センサーデータをクラウド上のサーバーに送信する。このセンシングシステムは、センサー部のボタン電池と、ソーラーパネルで駆動できるため、商用電力供給がない山野にも設置できる。

 データは、独自開発したAIにより解析する。解析では、風や動物の衝突といった振動原因を層別して推定できるか検証する。実験では、振動原因の推定精度の検証とあわせて、アラーム発報といった実監視業務への適用も検証されるという。

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