天の川銀河誕生のシナリオを推測 カナリア天体物理研究所の研究

2019年7月26日 11:13

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天の川銀河と矮小銀河「ガイア・エンケラドゥス」が衝突する様子 (c) Gabriel Pérez Díaz, SMM (IAC)

天の川銀河と矮小銀河「ガイア・エンケラドゥス」が衝突する様子 (c) Gabriel Pérez Díaz, SMM (IAC)[写真拡大]

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 われわれの住む天の川銀河の形成過程や時期について不明な点が多い。スペインのカナリア天体物理研究所は22日、「矮小銀河」と呼ばれる小型銀河が合体することで天の川銀河が形成されるプロセスを発表している。

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■謎の多い天の川銀河の形成プロセス

 1,000億個もの星を含む天の川銀河は、それより小さい矮小銀河が統合することで形成されたと考えられる。ところが、どの大きさの矮小銀河がいつ衝突し天の川銀河が形成されたかといった歴史に関しては、ほとんど知られていない。

 その原因は、天体の観測により星の年齢を推測できないことに由来する。星の年齢を予測するには、星の分布などを示した地図をモデル化し、星の集団を比較する必要があるという。星の集団すべての詳細を知ることで、時計の針を逆回転させて星の誕生する時期まで遡ることが可能になる。

■天の川銀河形成のカギとなる銀河ハロー

 天の川銀河の形成プロセスを知るためにカナリア天体物理研究所が着目したのが、周辺部に位置する銀河ハローだ。約6,500光年彼方に存在する銀河ハローには、古い年齢の恒星が存在するだけでなく、天の川銀河の形成に寄与した矮小銀河の残滓が存在するという。

 銀河ハローは赤と青のそれぞれに輝く星に大別される。青く輝く星は「ガイア・エンケラドゥス」と呼ばれる矮小銀河に由来することが判明していたものの、赤く輝く星の由来やガイア・エンケラドゥスがいつ天の川銀河に衝突したのかは明らかではなかった。

 研究グループは今回、恒星の位置を正確に計測することが目的のガイア探査機を活用し、銀河ハローに存在する星の観測を実施した。ガイア探査機からのデータを解析した結果、赤く輝く星と青く輝く星の双方とも同時期に形成されたことが判明した。赤く輝く星は水素やヘリウム等の軽元素を除く金属を含む一方、青く輝く星は金属が不足しているという。

 この情報をもとに、研究グループは天の川銀河が誕生するシナリオを作成した。それによると、130億年前に2つの異なる恒星系において星が形成され始めた。1つはガイア・エンケラドゥスであり、もう1つは天の川銀河の原型となる天体である。この天体は金属を多く含み、質量はガイア・エンケラドゥスの4倍にも及ぶ。

 100億年前に2つの銀河間で激しい衝突が起こり、天の川銀河のハローが形成された。星の形成が60億年前に爆発的に発生。その後、天の川銀河を取り巻く銀河円盤が誕生し、ガスがその位置に落ち着いたのだという。

 研究の成果は、英天文学誌Nature Astronomyにて22日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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