地球が酸素で満ちるまでに20数億年の歳月を要した訳 東邦大などの研究

2019年7月10日 20:50

小

中

大

印刷

生命(上)と大気中酸素(O2)濃度の進化シナリオ 。(画像:東邦大学発表資料より)

生命(上)と大気中酸素(O2)濃度の進化シナリオ 。(画像:東邦大学発表資料より)[写真拡大]

写真の拡大

 光合成によって酸素を生み出す生物は、30億年前から27億年前頃に出現したとされる。しかし、地球の大気や海洋の酸素濃度が現在のレベルに到達したのはそれから20数億年も後、およそ4億5,000万年前のことである。なぜ、地球の富酸素化には20億年以上の歳月が必要であったのか。

【こちらも】光合成を行わない「白い緑藻」プロトテカの進化の謎 筑波大学の研究

 これまで大きな謎とされてきたのだが、今回、東邦大学理学部生命圏環境科学科の尾崎和海講師と、ジョージア工科大学およびブリティッシュコロンビア大学の日米加合同研究チームが、これに関する新たな仮説を提示した。

 結論を先に述べよう。光合成はするが酸素を発生しない生物が、酸素発生型の光合成生物の活動のために必要な栄養塩をほとんど消費してしまっていたために、酸素はほとんど増えなかったのではないかというのが今回の仮説の核となる部分だ。

 光合成といえば普通は酸素の発生を伴うものと理解されているが、実は酸素を発生しない光合成生物もいる。その一種が、今回の仮説で重要視されている「鉄酸化光合成細菌」である。

 鉄酸化光合成細菌は今でも存在しており、光量の少ない、嫌気的な湖などに生息している。

 シミュレーションを行ったところ、深層水からの鉄の供給が栄養塩よりも相対的に大きい場合、酸素発生型の光合成生物はその活動をほとんど抑制されてしまうことが分かったという。

 従来の研究では、酸素発生型光合成生物は水を分解して酸素を発生させるため、海という「多量の水」の環境にあってはすぐに優位を獲得するものと思われていた。そこで、かれらが生産した酸素がどうやって消費されていたのかについての研究が主に行われていたのであるが、今回、光合成生物同士の競合があったとする仮説モデルを投入することで、生命進化の理解に対する新たな一石が投じられたといえよう。

 なお研究の詳細は、Nature Communicationsに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワード細菌

関連記事

広告

広告