ゼリア新薬工業は年初来高値更新、20年3月期大幅増益予想で新たな自己株式取得

2019年6月19日 09:24

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。また6月14日には新たな自己株式取得を発表している。株価は年初来高値を更新して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年5月10日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ-213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。本剤は世界75カ国で承認を取得している。

 子宮頸癌を適応症とするZ-100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG-801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ-206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ-338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期増収・大幅増益予想

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円で、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は42.9%となる。

 コスト面では研究開発費が増加するが、医療用医薬品では海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアではヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。好業績を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は年初来高値更新

 前回の自己株式取得(19年5月10日に取得期間を延長、上限380万株・82億円、取得期間18年6月18日~19年6月14日)は終了したが、6月14日に新たな自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年6月17日~19年11月1日)を発表した。

 株価は年初来高値を更新して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。6月18日の終値は2192円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS79円30銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想年間34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1164億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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