鳥貴族、上期売上高は予想比95.2% 達成困難を見据え、中期経営計画取り下げを決議

2019年4月17日 09:26

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記事提供元:ログミーファイナンス

店舗数の状況

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大倉忠司氏:みなさま、こんにちは。本日はお忙しい中、弊社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。さっそくでございますが、説明会を始めさせていただきます。

まずはじめに、店舗数の状況でございます。当第2四半期におきましては、直営店が11店舗の純増。TCC店……フランチャイズのことでございますが、2店舗純増となり、合計13店舗の純増となり、2019年1月末時点では総店舗数678店舗となりました。

既存店売上高前年比推移

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次に、既存店売上高前年比推移のグラフでございますが、上期累計で客数が92.6パーセント、客単価が99.5パーセントとなり、売上高は92.1パーセントとなりました。2017年10月に実施しました価格改定から1年が経過しましたが、客数は前年を割れて推移し、客単価につきましても、ドリンクの出数が減少しているため、前年を割って推移しております。

なお、2018年9月には台風の影響もあり、関西・東海では2日間、関東では1日を休業したため、大きく落ち込みました。

既存店売上高前年比推移(エリア別)

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次に、エリア別でございますが、上期累計で関西が95.4パーセント、関東が91.4パーセント、東海が89.3パーセントとなりました。関東と東海の下げ幅が大きくなっており、関東は自社競合の影響もあると考えております。また、東海につきましては、IPO以降の好調時に非常に伸びたこともあり、減少トレンドが顕著となっております。

直営店1日1席あたり売上高の推移(2014年7月期比)①

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こちらのスライドですが、線グラフは直営店全店の1日1席あたりの売上高推移を表しており、棒グラフは2014年8月以降の各月の店舗純増数を表しています。

2014年7月期を基準としましたのは、当社が東証JASDAQ市場へ新規上場しましたのが2014年7月でございまして、それ以降注目もあり、認知度の向上やメディアに多数取り上げられたことが売上高増加にプラスに働いたものと考えたためであり、線グラフを見ていただけるとわかるとおり、上場後は既存店売上高が好調に推移いたしました。

価格改定後、売上高が下降トレンドになった当初は、価格改定が一番大きな要因だとも考えておりましたが、やはりここにきまして……仮説なのですが、やはり上場後のメディア多数の登場により売上高がもらえたのかなと。そういったことも仮説で、こういったグラフを作ってみました。

やはりこのグラフのとおり、上場後2期連続で非常に売上が上がり、実は価格改定前くらいから下降トレンドになってきておりました。そういった意味で、現状では価格改定のみではなく、こういった上場後の注目・認知度向上、またメディアに多数取り上げられたことにより売上が底上げされたのかなとも考えております。

そのような中、当社におきましては、好調な売上高を背景に新規出店を加速させ、3商圏・1,000店舗という目標へと邁進いたしました。新規出店は、主に関東・東海を対象に推進し、とくに関東においては、都心部や乗降客数の多い駅にある既存店の近隣に追加出店を行ったほか、都心部から離れた郊外への店舗展開を行ってきました。

新規出店を計画する際、既存店の直近実績データをもとに収益計画を作成しており、好調な実績水準をベースに売上高や経費を計画いたしました。その後、2017年10月に実施しました価格改定後、店舗の集客力の低下が見られております。

直営店1日1席あたり売上高の推移(2014年7月期比)②

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また、先ほど説明させていただいたとおり、31期から32期の新店は、価格改定前の水準で出店計画を作成していた店が多く、そういった店舗は価格改定以降、計画未達で推移することとなりました。加えて、既存店の近隣に出店した店舗におきましては、自社競合が発生いたしました。

これらのことから、スライドのとおり、1日1席あたり売上高が想定よりも減少し、当社においては契約済みの物件を除いて、新規出店を一時停止することとしたものの、当期上期におきましては、売上高の計画を下回って推移しました。売上高が想定を下回ったことから、利益計画も未達で着地することとなりました。

業績ハイライト

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次に業績でございますが、以下のとおり、業績予想比におきましては、店舗集客力が低下したことや新店の予算未達・自社競合により、直営店売上高が予想比で減少となり、各段階利益につきましても予想比で減益となりました。

また、不採算店4店舗の閉店に伴う減損損失の1億7,500万円を当第2四半期に計上し、四半期純利益は5,300万円となりました。前年同期比では、前年同期以降に出店しました新店に係る販管費が増加したものの、説明させていただいたとおり、既存店・新店ともに売上高が伸びなかったことおよび減損損失の計上により減益となりました。

減損損失について

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続きまして、減損損失について説明をさせていただきます。先日開示いたしましたとおり、現時点で当期中に直営店21店舗を退店することを予定しております。当第2四半期の決算におきましては、退店を意思決定したこれらの21店舗のうち、資産簿価が残っていた4店舗について減損損失を計上しました。

残りの17店舗につきましては、過去に減損損失を計上した店舗、また減価償却済みの店舗であり、業績への影響は軽微です。また、これとは別に、期末に不採算店舗の減損損失が発生する可能性があることから、期末時点で追加の減損損失の計上を見込んでいます。

こちらにつきましては、開店後2年前後の店舗であり、立ち上がりの状況を判断するための期間が短いこと。また他の月と比べ、売上高が高くなる3月から5月の傾向を加味しなければ判断を誤る可能性があることから、当第2四半期決算では減損損失を計上せずに、通期業績予想へ織り込んだものとなります。

2019年7月期 足元の取り組み

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次に、2019年7月期の足元の取り組みの説明をさせていただきます。当期の足元におきましては客数推移などを踏まえ、新たなメニューの投入や販促に取り組んでいます。2月より東海エリアを対象に、月替わりの「感動メニュー」を投入。こちらは原価率80パーセントくらいの「感動メニュー」としています。また、メニュー改定を従来の年2回から年3回に増やし、3月から新メニューを展開しています。

加えて、歓送迎会シーズンに合わせ、期間限定で「食べ飲み放題」プランの変更と「飲み放題」プランの新設を行っています。4月には、満席時にご来店いただいたお客さまにお待ちいただいたり、近隣店舗へご移動いただくことを促す策を予定しており、満席による売上高の取りこぼしの抑制に取り組みます。これは、「満員御礼カード10パーセント引き」みたいなものをお配りする予定でございます。

通期業績予想の修正

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通期業績予想の修正でございます。上期の業績動向などを鑑みた結果、売上高や各段階利益が前回予想を下回る見込みであることや、先ほど説明いたしました追加の減損損失を織り込んだことから、下方修正をいたしました。下期の前提としましては、既存店売上高、前期および当期に出店した店舗の売上高を下方修正しています。

配当予想及び株主優待

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配当につきましては、当初より安定的かつ継続的な配当を方針としていることから、配当予想に変更はなく、据え置くことといたします。また、株主優待制度に変更もございません。

中期経営計画の取り下げ

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続きまして、今後の方針について説明させていただきます。

まず、中期経営計画の取り下げをいたしました。先日開示いたしましたとおり、新規出店の一時停止や当期業績見通しを鑑みて、中期経営目標「3商圏1,000店舗・営業利益率8パーセント」……2021年7月期ですが。この達成が困難になったと判断し、中期経営計画「うぬぼれチャレンジ1000」を取り下げることと決議いたしました。

今後の方針

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今後の方針でございますが、中期経営計画は取り下げましたものの、収益性改善は急務であると考えており、中期経営目標として掲げていた「営業利益8パーセント」につきましては、引き続き経営目標として取り組んでまいります。そのための方針としまして、「『鳥貴族』ブランドの再構築」「採算管理体制の再構築」「『鳥貴族』店舗網の再構築」。この3つを掲げており、着手・検討を進めています。

「鳥貴族ブランド」の再構築

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次から、各方針の概要について説明させていただきます。まず、「鳥貴族」ブランドの再構築でございます。価格改定以降、お客さま数は減少して推移しています。当社といたしましては、価格改定以後、価格と価値のバランスが崩れ、市場との乖離が生じているものと考えています。価格改定と同時に、新たな価値の訴求をできなかったことなども踏まえ、今後はマーケットをより意識した施策を検討いたします。

そのために、私直轄のプロジェクトチームを4月に組成し、内部者ヒアリングや消費者インタビュー、定量調査・分析などを通して、今後目指すべき「鳥貴族」ブランド像を明確化していきます。また並行しまして、ターゲット理解に努め、お客さまのニーズを深掘りすることで、目指すべき「鳥貴族」ブランド像と市場とのギャップを探索し、ブランド戦略を策定します。そして、来期以降の施策につなげることで、売上高向上を目指します。

採算管理体制の再構築

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次に、採算管理体制の構築でございますが、価格改定以降の店舗収益力の低下や、人件費などの経費上昇圧力が今後も続くと考えることなどから店舗ごと、また各階層のリーダーごとの採算管理を強化する必要性が増しています。このことから、京セラ創業者の稲盛和夫氏が考案しました「アメーバ経営」を導入し、収益の改善を目指します。

「アメーバ経営」は当期から導入を進めまして、2019年1月をもって、当社における「アメーバ経営システム」の仕組みを構築いたしました。2月からは実際に、エリアマネジャー以上のリーダーを対象に運用を開始しています。まずは、このリーダー層への落とし込みを現在行っています。来期以降は進捗を見ながら直営店舗にも展開し、浸透・定着に努める予定でございます。

「鳥貴族」店舗網の再構築

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最後に、「鳥貴族」の店舗網の再構築です。先ほどから説明させていただいたとおり、新店の計画未達や自社競合が利益率の押し下げ要因となっています。そのため、引き続き出店を停止させ、不採算店や自社競合店の退店を検討し実施していく予定です。

今後、既存店売上高の動向や全社業績等を総合的に勘案しまして、出店再開を判断してまいりますが、出店再開に至りましては未出店のエリアを想定しており、国内の新市場へ進出することで新たな成長戦略を描いていきたいと考えています。

今後の方針(まとめ)

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最後に、今後の方針(まとめ)でございますが、これらの方針を盛り込んだ新たな中期経営計画は、2019年9月をめどに公表させていただく予定としています。

次ページ以降は参考資料となっていますので、適宜ご覧いただければと存じます。本日はありがとうございました。

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