ミュージカル『HARUTO』がつないだ良質なファンの夢の懸け橋

2019年3月18日 18:32

小

中

大

印刷

 SixTONESの京本大我が初主演したミュージカル『HARUTO』が、好評の中、千秋楽を終えた。この作品は昨年上演されたミュージカル『恋する♡ヴァンパイア』のスピンオフ的な作品で、前作でエリートヴァンパイアを演じたHARUTOの過去の恋愛話が語られる内容になっている。

【こちらも】能條愛未、本当の卒業公演だった『GIRLS REVUE』

 そしてヒロイン役には、乃木坂46を卒業して、この舞台が事実上初のソロとなる(GIRLS REVUEは多くの乃木坂メンバーも出演していたため)能條愛未が、キャスティングされていた。

 この舞台が素晴らしいものになったのは、ジャニーズと乃木坂という、バリバリのアイドルの、キスシーン(?)まであるラブストーリーであるにも関わらず、嫉妬むき出しの誹謗中傷がほとんど存在せず、ただただ舞台そのもののよさを双方のファンが絶賛するという展開を見せたことだろう。

 京本大我は、京本政樹の息子でもあり、元々芝居の上手さと歌の上手さではジャニーズ内でも屈指の実力派。それでいてSixTONES内ではムードメーカーで、いじられることも多い明るい性格。

 一方の能條愛未も、乃木坂ではトップクラスの歌唱力と舞台経験を誇るものの、バラエティ要員としていじられまくっていた存在。今回『HARUTO』での王道ヒロイン役について、「初めて女の子扱いしてもらえる」とコメントしていた。

 おそらく、乃木坂ファンの多くは京本大我を知らなかっただろうし、SixTONESのファンも能條愛未を知らなかったと思う。ともすれば荒れてしまいそうな、アイドル2人の共演だったが、いざ舞台が始まると、京本の透き通ったハイトーンボイスに、彼の他の作品や歌を知りたいと検索し始める乃木坂ファンが急増。

 同じように、能條愛未を検索したジャニーズファンは、舞台で見せるヒロイン役とはかけ離れたバラエティで粉をかぶり水をかけられアフロのカツラでヤンキーを演じる彼女に驚愕するとともに、そのふり幅の大きさに好意的なコメントが殺到。TwitterのTLをにぎわせた。

あまりにジャニーズファンから「綺麗」と言われることに、能條をブス扱いしていた乃木坂ファンが驚き、当日券で舞台を見て、卒業したあとでファンになって推し増し(というのかどうかわからないが)してしまうというケースもあったらしい。

 京本も能條も、人気アイドル出身ではあるが、その道のりは決して平坦な順風満帆なものではない。しかしそんな状況で、真摯に自己研鑽を重ね、本物の実力を身に付けた者同士の信頼関係が舞台上からも溢れていたようで、この2人のデュエットは「他の作品でも2人で歌ってほしい」という声が殺到するほど高い評価を受けていた。

 演劇作品としては、その歌唱シーンがあまりにも多く、舞台の脚本として、物語として、やや甘さと言うか、浅さみたいなものは感じたが、そうした短所を上回る歌唱力が観客を満足させていた側面はあるように思う。

 是非、またこの2人の共演を、そして実力あるアイドルの舞台進出が増えることを祈りたい。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

関連キーワード乃木坂46能條愛未