三洋貿易は調整一巡感、19年9月期増収増益・3期連続増配予想

2019年1月30日 09:56

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 三洋貿易<3176>(東1)は自動車向けのゴム・化学関連商品やシート部品を主力とする専門商社である。19年9月期増収増益・3期連続増配予想である。また長期経営計画では経営スローガンを「最適解への挑戦」として、目標値に23年9月期経常利益75億円を掲げている。株価は地合い悪の影響で安値圏だが、調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■自動車業界向けゴム・化学関連製品やシート部品が主力の専門商社

 ゴム関連商品、化学品関連商品、産業資材関連商品、科学機器関連商品、機械・資材関連商品の5分野に展開する専門商社である。

 18年9月期セグメント別(連結調整前)営業利益構成比は化成品29%、機械資材49%、海外現地法人15%、国内子会社8%、その他0%だった。業種別売上構成比(単体ベース)は自動車向けが5割強を占め、その他化学、OA・家電、塗料・インキなどが続いている。なお19年9月期から国内子会社セグメントを廃止し、ケムインターを化成品へ、コスモス商事を機械資材に振り分ける。

 自動車関連は合成ゴム・添加剤、タイヤ用特殊クレー、防振ゴム・ホース原料、自動車用シート部品(レザーシート、シートヒーター、ランバーサポート、シートセンサー)といった高付加価値品を中心に展開している。シートヒーター(Gentherm社製)はカーボンファイバー仕様市場を独占し、ランバーサポート(L&P Group社製)は世界市場6割を占有している。

 メーカー並みの技術サポート力に加えて、財務面で実質無借金経営であることも特徴だ。なお収益面では設備投資関連商材を含むため、3月期決算企業の期末にあたる第2四半期の構成比が高くなりやすい特性がある。

■業容拡大・グローバル戦略を推進

 M&Aも活用して業容拡大・グローバル戦略を推進している。17年6月精密鋳造用副資材輸入販売の日本フリーマンを子会社化、17年10月化学品専門商社のアズロを子会社化、18年4月工業化学薬品輸入販売のソート(16年2月子会社化)を吸収合併、18年8月大日本コンサルタント<9797>と合弁で静岡県・湯船原地区の木質バイオマス発電所を管理運営する合同会社ふじおやまパワーエナジーを設立した。

 海外は米国、メキシコ、中国、タイ、ベトナム、インド、インドネシア、シンガポール、ドイツに展開し、18年2月にはタイの連結子会社San-Thap Internationalを完全子会社化(18年7月Sanyo Trading Asiaに商号変更)した。

■長期経営計画の経営スローガン「最適解への挑戦」

 15年11月公表の5カ年長期ビジョンの20年9月期目標値(経常利益50億円以上)を17年9月期に3期前倒しで達成したため、18年11月に新たな長期経営計画「VISION2023」を策定し、数値目標を23年9月期の経常利益75億円、ROE15%、および海外拠点成長率(売上高、年率)10%とした。

 経営スローガンに「最適解への挑戦」を掲げ、基本戦略として企業体質の強化で最適解への挑戦、企業基盤の強化、人材への投資、収益基盤の強化で事業領域の深化、新規ビジネスの開拓、グローバル展開の加速、新規投資案件の推進に取り組む。

 事業領域の深化では注力ドメインを、自動車部材(内装材、ゴム部材)、ファインケミカル(高機能化学品、ゴム添加剤)、ライフサイエンス(医薬中間体、医療機器、ゴム部材)、サステナブル(木質バイオマス、地熱発電)、畜産関連(ペレットミル機械、畜産部材)、科学分析機器(先端計測・分析機器)とした。

 また今後の成長ドライバーとして木質バイオマス関連、自動車関連、および海外への展開を加速する方針だ。

 木質バイオマス関連は、実績豊富な木質ペレット製造装置(CPM社製)やガス化熱電併給装置(ブルクハルト社製)のプロジェクト受注を積み上げて、将来的には部品更新やメンテナンスを中心とするストック型収益の構築を目指す。自動車関連はEV化や自動運転化に対応し、モビリティ分野での移動環境の快適化・高付加価値化の流れを踏まえた商品開発を推進する。海外はアセアン+インド、中国、北中米の3拠点を主軸としてグローバル展開を加速する。

 なお新たな経営理念・5カ年長期経営計画の策定に伴い、今後の更なる発展に向けて経営体制を一層強化するため18年12月、増本正明氏(旧代表取締役社長兼社長執行役員)が取締役会長に、新谷正伸氏(旧取締役兼執行役員、経営戦略室長)が代表取締役社長兼社長執行役員に就任した。

■19年9月期増収増益・3期連続増配予想

 19年9月期連結業績予想は、売上高が18年9月期比8.3%増の850億円、営業利益が6.4%増の56億円、経常利益が3.1%増の57億50百万円、純利益が7.3%増の39億円としている。配当予想は5円増配の年間69円(第2四半期末34円、期末35円)としている。予想配当性向は25.3%となる。

 自動車関連ビジネスの伸長、バイオマス関連ビジネスの成長を見込み、原料高や継続的に実施する成長投資を吸収して増収増益・3期連続増配予想である。

 セグメント別売上高の計画(国内子会社セグメント廃止後の新セグメント)は、化成品が6.2%増の326億円、機械資材が13.9%増の318億60百万円、海外現地法人が4.5%増の201億40百万円、その他が62.1%減の55百万円としている。

 化成品はゴム関連の数量増、化学品でのソート吸収合併によるシナジー効果、機械資材は自動車関連の伸長、バイオマス関連の複数の大型案件、コスモス商事の復調、海外現地法人は化成品と自動車関連の堅調推移を見込んでいる。自動車関連が牽引して好業績が期待される。

■株価は調整一巡感

 株価は地合い悪の影響で安値圏だが、12月25日の1650円から切り返して調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。1月29日の終値は1816円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS272円43銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間69円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1845円34銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約263億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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