四三の能力が徐々に開花!「いだてん」4話レビュー

2019年1月28日 21:32

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■四三という人間ができる過程を見せつけた4話

 2019年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の第4話が1月27日に放送された。学校に通うため上京するもやりがいを見つけられず、ついには居場所までないと思っていた四三。しかし、偶然にも「走ること」を楽しむために行う「スポーツ」という概念を知り、自分の長所を生かせる道を第3話にて見出した。

【前回は】ついに四三がマラソンと出会う!「いだてん」第3話レビュー

■実家との決別を決めた四三

 東京高等師範学校(現在の筑波大学)の校長である嘉納治五郎(役所広司)は、三島弥彦(生田斗真)をはじめ集まった面々にオリンピックのすばらしさを説いていた。弥彦以外のリアクションが芳しくない中、日本で初となるマラソン大会が開催されていた。

 走る喜びに目覚めた金栗四三(中村勘九郎)も参加していたが、直前に緊張してしまって立小便に行ってしまう。結果として他の選手より大幅に遅れてスタートを切ることとなったが、独自の呼吸法と日々の鍛錬もあって3位入賞を飾ることとなった。

 「予科性(現在の大学教養課程に相当)で3位入賞することは素晴らしい」と治五郎から激励を受けると共に、銅メダルをもらった四三。あまりのうれしさに実家へ手紙を送るものの、兄の実次(中村獅童)から「競争させるために学校へ行かせたつもりはない」と冷たい返事が返ってくる。これを機会に四三は実家へ手紙を送ることを止め、よりマラソンに打ち込むこととなる。

■走ることにのめりこんでいく

 より走ることを知るため、四三は徒歩部(現在の陸上部に当たるもの)に入部する。仲間と共に学校終わりに走って基礎体力を付けながら、さらにスタミナ料理を多く食べて体力増強に励んだ。そして、明治44年にオリンピック代表選手を決める予選会が開かれるニュースを聞き、彼らも参加する決意をする。

 しかし、40キロもの距離を走ることは当時の日本では考えられることではなく、徒歩部のメンバー全員が不安に駆られていた。そこで、四三はさらなる練習法として油抜き・水抜き練習法を実践することにする。この方法は一切の水を接種することなく行う練習方法だが、成功することもなく練習後に倒れてしまう。

 仲間の中で最後まで油抜き練習法を続けていた四三だが、気が付いた瞬間から調理場の梅干しの入った水を何杯も飲み、さらには他人のおやつにまで手を出してしまう。この経験から四三は「自然に従うこと」が一番であると学び、食事だけでなく走ることも無為自然に行うことを心掛けることとなった。

■ついにはじまるオリンピック予選会

 四三が本格的にランナーとしての才能を開花させるのが見えてきた第4話。第1話で少し語られたオリンピック予選会の工事場面も4話で再び映し出されると同時に、三島弥彦の家庭的なトラブルによって信念がゆらぐ姿なども垣間見えた。

 最初の1話では矢継ぎ早に人物や時代が錯綜してわかりづらいところがあったが、そのピースを拾い上げるように話が進む爽快感がある「いだてん」。このあたりはさすが脚本を務める宮藤官九郎氏というところでもあるし、出演陣の演技力もあってのことだと思わされる。ついに5話では四三のマラソン大会の様子が語られると思うと期待せずにはいられない。

 「いだてん~東京オリムピック噺~」は毎週日曜20:00からNHKにて放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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