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後発医薬品で世界トップ10入りを掲げる日医工:田村社長の本気度
ジェネリック医薬品(以下、ジェネリック)大手の日医工は、至2019年3月期までの中計で、目標をこう掲げている。「世界市場への210億錠供給体制の能力を確立する」「バイオシミラー、及び米国市場参入のための開拓力を高める」。業界アナリストは「現内閣の『骨太の方針2017』で20年9月までに、ジェネリックの医療用医薬品シェアを80%まで引き上げるとしたことを既に視野に入れていたかのような計画だった」とした上で、「世界(米国)市場での地盤確立とバイオシミラー(バイオ後発品)分野の積極的参入を打ち出した点が興味深いし評価に値する」とした。
【こちらも】ジェネリック医薬品の国内市場拡大、政府の後押しにより置換え進む
国内市場への対応は揺るぎない。最近も「イルアミス配合錠HD(高血圧症薬)」「イルアミクス配合錠LD(同)」等々の追加収載を実現している。が、その一方で田村友一社長は「当面の目標というか課題は、世界10位内のジェネリック企業(現在20位程度)となること」と機会あるごとに、公にしている。私は田村氏のその「本気度」を16年にまず感じた。
この年に日医工は、米国の注射剤ジェネリックメーカーのセージェント社を750億円で買収した。がん・感染症・救急医療分野で55製品を保有、そのうちの3割で1位ないしは2位のシェアを有する企業である。米国市場確立の大きな一策であるが、この折に「これからもCEOは私が」とするセージェント社のCEOの要請を蹴った。14億円の退職金を支払うことで事を納め、日本での取引先からスカウトしたドイツ人をCEOに据えたのだ。「CEOの横滑りでは統制がとれない。意志の疎通がはかれないという田村氏の判断だった」(アナリスト)。
また「バイオシミラー(バイオジェネリック)への注力」を声高々にぶち上げるのを耳にするたびに、「本気度」を覚える。
バイオシミラーは、いわゆるジェネリックとは一線を画す。その差異はこんな具合である。
★有効成分は全く同じではない。あくまで類似する成分を使用する。
★製造方法などを含め、全て自前で開発する。
★発売する際には、新薬発売時に準ずる試験が必要となる。具体的にはジェネリックの場合は、最大4種類の資料の提出が求められる。対してバイオシミラーは臨床試験を含め20種類以上の資料提出が必須となる。
★当然、開発費負担は大きくなる。1薬単位で考えるとジェネリックの約1億円に対し、50億円から100億円を要するとされる。
国の医療費抑制策に基づく18年度の薬価改革では、従来2年に1度だった薬価改定を毎年にする方針が示されている。国の財政状況を勘案する時「薬価引き下げ」が常態化する公算が高い。企業として利益を高めるためには「米国市場の本格開拓」「付加価値の高い商品の開発力」が不可欠になる。日医工は不可欠な要因を埋める方向性を打ち出しているのである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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