捨てるはずだった服を再生 アパレル廃棄問題に取組む「shareCloset」始動

2018年12月14日 08:47

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「shareCloset(シェアクローゼット)」の仕組み。(画像: エアークローゼットの発表資料より)

「shareCloset(シェアクローゼット)」の仕組み。(画像: エアークローゼットの発表資料より)[写真拡大]

 月額でファッションレンタルサービス「Air Closet」を展開しているエアークローゼットは、着なくなった洋服を回収・検品して再生させる「shareCloset(シェアクローゼット)」プロジェクトを14日から31日まで行うことを発表した。

 指定されたブランドの服について店舗に持っていき、その後エアークローゼットの工場にて検品を行う。 新しく着られる服へと修復することで再度商品としての価値を蘇らせる。蘇った洋服はシェアリングで利用する。

 商品として使えない場合でも、リサイクルをして資源活用に生かす。リサイクルは、日本環境設計が運営する『BRING』と提携。ポリエステルは、もう1度ポリエステルの原料へ生まれ変わり、綿繊維はバイオエタノールにリサイクルし石油に変わる代替燃料として利用する。その他の様々な素材は、ジェット燃料にする技術や自動車内装材化、コークス原料化法などでリサイクル。余すことなく他の産業の原料へと変えられていく仕組みだ。


 回収する服はアパレル企業と提携しており、この仕組みに参加することで、アパレル企業も自社製品の廃棄を減らせる仕組みとしている。第1弾は、「FLANDRE(フランドル)」と提携。フランドルが東京・大阪で運営する『ルミネ池袋 MARCHE de CLEARIMPRESSION』など6店舗に、同グループの服を持って行くと、条件はあるが1着当たり1080円引きのクーポンがもらえる。

 アパレル製品の廃棄が大きな問題となっている昨今では、注目できるシェアリングサービスと言えるだろう。2016年の経済産業省の調査によれば、アパレル製品の廃棄量は年間100万トンにものぼっており、数にすると実に30万着もの服が1年間で廃棄されている。ファストファッションの普及により服を容易に買える分、捨てるのも容易になっていることなどが原因として考えられる。

 廃棄された服の焼却処分の際に発生する二酸化炭素は膨大な量となり、地球環境にとって負荷となるだろう。フランスでは服の大量廃棄を禁止する方針を検討中だ。

 要らない服についてヤフオクやメルカリで売る方法もあるが、買い手がいつ付くかわからず、手数料もかかる。「shareCloset」ならリターンも明確なので一層手軽に利用できそうだ。

 エアークローゼットはシェアリングエコノミーの先駆的な会社として知られる。矢野経済研究所の発表によれば、2015年度には285億年だったシェアリングエコノミーの市場規模が2020年には約600億円になると予測。 エアークローゼットが「shareCloset」にて服の引き取りも手掛けるようになれば、さらなる市場規模の拡大にも貢献しそうだ。(記事:藤原大佑 ・記事一覧を見る

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