三洋貿易は調整一巡して出直り期待、19年9月期増収増益・3期連続増配予想

2018年11月28日 09:32

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 三洋貿易<3176>(東1)は自動車向けゴム・化学関連商品やシート部品を主力とする専門商社である。18年9月期は計画超の増益・増配で着地した。19年9月期も自動車関連が牽引して増収増益・3期連続増配予想である。長期経営計画では目標値を23年9月期経常利益75億円とした。なおTBS「あさちゃん!」でTVCMを放映(関東エリア、18年10月~19年3月)している。株価は戻り一服の形だが調整一巡して出直りを期待したい。

■自動車業界向けゴム・化学関連製品やシート部品が主力の専門商社

 ゴム関連商品、化学品関連商品、産業資材関連商品、科学機器関連商品、機械・資材関連商品の5分野に展開する専門商社である。メーカー並みの技術サポート力に加えて、財務面で実質無借金経営であることも特徴だ。

 18年9月期セグメント別(連結調整前)営業利益構成比は化成品29%、機械資材49%、海外現地法人15%、国内子会社8%、その他0%だった。業種別売上構成比(単体ベース)は自動車向けが5割強を占め、その他化学、OA・家電、塗料・インキなどが続いている。なお19年9月期から国内子会社セグメントを廃止し、ケムインターを化成品へ、コスモス商事を機械資材に振り分ける。

 自動車関連は、各種合成ゴム・添加剤、タイヤ用特殊クレー、防振ゴム・ホース原料、自動車用シート部品(レザーシート、シートヒーター、ランバーサポート、シートセンサー)といった高付加価値品を中心に展開している。シートヒーターはカーボンファイバー仕様市場を独占し、ランバーサポートは世界市場6割を占有している。

 なお収益面では、設備投資関連商材を含むため、3月期決算企業の期末にあたる第2四半期の構成比が高くなりやすい特性がある。配当の基本方針は、今後も、中長期的な「一株当たり配当額」の増額に重点を置き、長期安定的な株主還元を行っていくとしている。

■業容拡大・グローバル戦略を推進

 M&Aも活用して業容拡大・グローバル戦略を推進している。17年10月医農薬品中間体や電子材料など精密化学品を主力とする化学品専門商社アズロを子会社化、18年4月ソート(16年2月子会社化)を吸収合併した。18年8月には大日本コンサルタント<9797>と合弁で、静岡県・湯船原地区の木質バイオマス発電所を管理運営する合同会社ふじおやまパワーエナジーを設立した。

 海外は米国、メキシコ、中国、タイ、ベトナム、インド、インドネシア、シンガポール、ドイツに展開し、18年2月にはタイの連結子会社San-Thap Internationalを完全子会社化(18年7月Sanyo Trading Asiaに商号変更)した。

■18年9月期は増益で着地、19年9月期増収増益・3期連続増配予想

 18年9月期の連結業績は、売上高が17年9月期比15.8%増の784億50百万円、営業利益が6.6%増の52億63百万円、経常利益が5.8%増の55億70百万円、純利益が8.5%増の36億35百万円だった。配当は期末2円増額して、17年9月期比5円増配の年間64円(第2四半期末30円、期末34円)とした。配当性向は25.2%となる。

 自動車関連や海外子会社の好調が牽引して計画超の増益・増配で着地した。純利益は海外子会社における保有株式売却益も寄与した。

 化成品は7.1%増収で5.1%営業増益だった。ゴム関連で自動車、情報機器、建機向けの合成ゴムや添加剤、化学関連製品で塗料・インキ原料、フィルム・電材、香料、畜産・農業資材の輸出が好調だった。機械資材は20.0%増収で15.4%営業増益だった。産業資材でシート周辺部品、機械・環境で木質バイオマスの熱電併給装置の大型案件、科学機器で摩擦摩耗試験機やバイオ関連新規商材が牽引した。

 海外現地法人は29.9%増収で21.0%営業増益だった。SCOA(米国)では高機能性樹脂や自動車用部品・原材料、三洋物産貿易(上海)では自動車内装用部品、Sanyo Trading Asia(タイ)では自動車内装用部品などが好調だった。国内子会社は0.6%増収で14.3%減益だった。ケムインターは米国や韓国向けの半導体関連商材が好調だったが、コスモス商事で地熱分野の機材販売・レンタルが低調だった。

 19年9月期連結業績予想は、売上高が18年9月期比8.3%増の850億円、営業利益が6.4%増の56億円、経常利益が3.1%増の57億50百万円、純利益が7.3%増の39億円としている。配当予想は5円増配の年間69円(第2四半期末34円、期末35円)としている。予想配当性向は25.3%となる。

 自動車関連ビジネスの伸長、バイオマス関連ビジネスの成長を見込み、原料高や継続的に実施する成長投資を吸収して増収増益・3期連続増配予想である。

 セグメント別売上高の計画(国内子会社セグメント廃止後の新セグメント換算後)は、化成品が6.2%増の326億円、機械資材が13.9%増の318億60百万円、海外現地法人が4.5%増の201億40百万円、その他が62.1%減の55百万円としている。

 化成品はゴム関連の数量増、化学品でのソート合併効果、機械資材は自動車関連の伸長、バイオマス関連の複数の大型案件、コスモス商事の復調、海外現地法人は化成品と自動車関連の堅調推移を見込んでいる。自動車関連が牽引して好業績が期待される。

■長期経営計画で23年9月期の経常利益75億円目標

 15年11月公表の5カ年長期ビジョンの20年9月期目標値を17年9月期に3期前倒しで達成したため、18年11月に長期経営計画「VISION2023」を策定し、目標値を23年9月期の経常利益75億円、ROE15%、海外拠点成長率(売上高、年率)10%とした。

 新経営理念に「最適解への挑戦」を掲げ、基本方針として企業体質の強化で最適解への挑戦、企業基盤の強化、人材への投資、収益基盤の強化で事業領域の深化、新規ビジネスの開拓、グローバル展開の加速、新規投資案件の推進に取り組む。また今後の成長ドライバーとして木質バイオマス分野、自動車関連分野、海外への展開を推進する方針だ。中期的にも収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡して出直り期待

 株価は10月の年初来安値1690円から切り返して11月9日の2109円まで上伸した。その後は戻り一服の形だが調整一巡して出直りを期待したい。11月27日の終値は1978円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS272円43銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想年間69円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1845円34銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約287億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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