コニカミノルタ、X線動画解析ワークステーション発売 肺疾患の早期発見へ

2018年11月20日 19:41

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X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」(写真:コニカミノルタの発表資料より)

X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」(写真:コニカミノルタの発表資料より)[写真拡大]

 コニカミノルタは19日、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」を発売すると発表した。

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 COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)は、喫煙や大気汚染などに起因する生活習慣病の一つだ。聞きなれない病名と思われるかもしれなれいが、以前は、肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれたものの総称だ。気管支や肺に障害が起こり、呼吸が困難になり、最悪は死に至る。

 厚労省の2017年人口動態統計によれば、COPDが原因の死者は、年間1万8,523人。内、男性は1万5,266人で、死亡原因の8位に位置づけられる。男性に多い疾患である一方、40歳以上から徐々に増加する傾向が顕著だ。他方、死亡原因の部位で分類すると、男女ともに「気管支および肺」が1位となる。

 COPDの症状は、先ず、気管支が腫れて気管支内部が狭くなる。結果として、痰が増え、しつこい咳に悩まされる。加えて、肺胞が破壊され袋状になる。結果、肺胞から酸素を十分に吸収できず酸素マスクを用いる生活を強いられる。

 COPDの簡易検査は、呼吸のときの呼気量と吸気量を測定し、呼吸の能力を調べるスパイロメトリーがある。そして、精密な検査にはX線診断を使用するが、静止画でしか部位の診断ができないことが課題であった。

 今回の発表は、胸部単純X線検査を動画にすることにより、診断レベルを向上させるものだ。

●X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」の特長

 動画の提供に加えて、横隔膜の動きなど、構造物の動きを数値化しグラフ表示。特に、COPD患者の横隔膜の動きが健常者と異なることから、横隔膜の移動量や肺の大きさの変化量が定量指標となる。

 KINOSISの標準小売価格は、2千246万5000円(税別)と高価であるが、より高価なCTやMRIなどの高度診断装置を使用する前のスクリーニング段階での使用を想定している。

●X線写真(コニカミノルタ、X線動画解析)のテクノロジー

 肺胞や肺血管など肺組織の挙動に伴う信号値変化を捉え、それを可視化・デジタルデータ化したことは、ビックデータ解析やAI診断への道を拓く可能性を秘める。

 静止画でしか見えなかった疾患部位の挙動を動画で捉えたデータは、効率的な診断を加速するであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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