デスクトップLinuxプラットフォームが抱える問題とは?

2018年10月11日 18:20

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記事提供元:スラド

headless曰く、 9月末に開催されたLinuxユーザースペースに関するカンファレンス「All Systems Go!」で、AppImageの開発者Simon Peter氏が現在のデスクトップLinuxプラットフォームが抱える問題について講演した(GitLab — Desktop Linux Platform IssuesPhoronix講演動画講演スライドPDF)。

 Peter氏によれば、プラットフォームはその上で他のものを実行できるようにするもので、成功したすべてのデスクトップOSはプラットフォームだが、Linuxディストリビューションはプラットフォームではないという。各ディストリビューションは(最近は少し変わってきているものの)独自パッケージによるアプリケーション配布に力を入れており、サードパーティーバイナリーの実行に最適化されていない。

 ライブラリーや証明書のパスはディストリビューションごとに異なり、上流のバージョンと異なるバージョン番号を付けるディストリビューションもある。基本的なライブラリーであっても、すべてのディストリビューションで利用できるという保証はない。ライブラリーに後方互換性がないという問題もある。しかも、デスクトップOSに占めるLinuxのシェアは3%にも満たないにもかかわらず、数百のディストリビューションと数十のデスクトップ環境がある。

 その結果、デスクトップLinux向けアプリケーションとして最も成功しているLibreOfficeとFirefoxでは、古いビルドシステム上でビルドし、多数のライブラリーを同梱することでほぼすべてのデスクトップLinuxでの動作を実現している。しかし、ライブラリーの依存関係や後方互換性の問題などをディストリビューション側で解決すれば、アプリケーション開発者の負担は大幅に軽減される。ユーザビリティーの問題もあるが、こちらはsystemdである程度改善するとPeter氏は考えているようだ。

 デスクトップLinuxをWindowsやmacOSと並ぶアプリケーション開発者の選択肢となるプラットフォームにするためには、上述のような問題を解決し、ディストリビューション間の差異を最低限にする必要がある。Peter氏は標準化を進める団体が必要だと考えているが、Linux Foundationはサーバーに力を入れており、XDGやLSBは生きているかどうかわからない(LSBは死んだとの情報が会場から出ている)とのこと。

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