悲しいが「孤独死」への必要な対応策

2018年8月9日 07:52

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 孤独死の増加が指摘されている。2017年の65歳を超える老齢層は、全人口の27.3%に及んでいる。15年の国勢調査では、一般世帯の34.6%に当たる1,841万7922世帯が単身世帯であることが明らかにされている。老齢層が全てアクティブシニアなどではありえない。ましてや65歳を過ぎて単身世帯生活という背景には、諸々の理由がある。

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 ところで築古の賃貸マンション(アパート)のオーナーにとっては、老齢層単身者は「上客」だという。「ふるくなった和室でも好んで入居する」「穏健な人が多い」「入居者間のトラブルが少ない」などが、その理由とされる。が、一方でリスクが伴う。「孤独死」である。万が一の場合どうすればよいのか。当然、入居に際しては「(離れた)家族」等を保証人とする。しかし、「金」の問題が絡んでくると、ことは決して容易ではなくなる。表現は適切でないことは百も承知だが、「対応しましょう」という業者が登場する。

 保険業界でその先陣を切ったのは、アイアル少額短期保険。11年8月から「無縁社会のお守り」なる商品を、家主向けに販売を開始した。今年3月末時点で申し込み個室数は2万3,000戸を超える。「最長120日間の家賃補償」の他、加齢ゆえに間違って起こしてしまった「高額原状回復費用補償」や現状の回復に費用が不必要な場合の「見舞金」がついている。オーナーサイドの最低補償商品だ。

 他にも類似商品が発売されている。が、不幸にも「孤独死」に至ってしまった高齢層への対応商品は登場していない。生保にしても損保にしても最も契約したくない顧客層だからだ。策としてエリア自治体による「(無料)定期見回り」の実現を提案したい。詳細は省くが金さえ払えば実施する業者もいる。だが「孤独死を回避する策を展開するのも自治体の役目」と考えるからだ。当方は65歳を過ぎた老齢者夫婦の2人暮らし。年に1回ほど自治体から要請を受けた民生委員が訪ねてくるが、この限りでは「孤独死」への対応は難しい。家族状況を把握しているはずの自治体の積極策が「孤独死」回避に結びつくと考える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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