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小学館の勝ち! 売上20%増 漫画のシュリンク包装辞めて
人間の心理には「見せたくない」と言われると、「見たい」という思いが募るという部分がある。かく言う私も紙媒体隆盛期に、書店に並ぶ雑誌の「袋とじ頁」を薄手のナイフを持参し店員の目を盗みながらそっと切り裂き目にしたことがある(勝手に、もう時効と決めつけている)。
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紙媒体の衰退が際立っている。漫画の世界でもそれは同様。色々な形のメディアで立体的画像まで目にできる時代だ。小学館のスタッフは頭・知恵を絞りに絞った。至った結論が『コミックス脱シュリンクパックプロジェクト』。立ち読みや本の汚れを防ぐために漫画の包装用のシュリンクパックを辞めるよう、書店を口説き実行に移してきた。逆転の発想!?と言えるかどうかは判断しかねるが、「まずはザッとでも目にしてもらうことで売り上げの回復に繋がらないか」と考えたのである。そんな意識に至った背景には、電子書籍があったという。電子書籍では「試し読み」の枠組みを用意すると、漫画の売り上げが伸びたという実績に着目した。
春先から縁の深い全国36書店に呼び掛け、協力を仰いだ。約3カ月間。人気となると踏んだ同社の代表的な35作品について、「1巻目」と「最新巻」に包装をかけず「ご自由にお読みください」という状況にしてみた。そんな話を出版社の知人から聞かされた時、正直なところ「失敗するな」という予感がしたものである。「見るな」と言われれば「なんとしても見たい」が、「どうぞご随意に」という態度に出られると「まあ、ろくなものではないだろう」となるだろうと直感したからだ。がこの直感は、ものの見事に外れた。小学館をたて「シュリンクパック」をしなかった書店の漫画が、かぶせた書店と比べ、少女・女性向けの漫画本の売り上げが20%方多かったという。小学館では今回の「試し読み施策」を更に街の声を拾うなどして研究を続けるという。
先の知人に施策を耳にした時、私は我々のビジネス書だと目次が決め手。漫画にも「目次立て」はできないのと問うた。
メディアの多様化を否定などしない。がネット媒体の「財経新聞」に記すのはどうかとは思うが、電車などで書籍を読んでいる若者に出会うとホッとするのも事実である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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