住宅専用地域にコンビニが開店できる! 停滞感漂う業界はどう活用するのか?

2018年7月25日 18:05

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 日本フランチャイズチェーン協会は、20日に6月のコンビニエンスストア既存店の売上高(速報値)を発表した。品目では飲料やアイスクリームなどが含まれる「加工食品」が前年同月比1.3%の増加となり、記録的な高い気温が続く日々を背景に夏物商材が健闘したようだ。宅配便やコピーなどが含まれる「サービス」は同19.1%と大幅な増加となった。コーヒーやカウンター商品、弁当などの「日配食品」は同0.04%の増加となり堅調に推移した。

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 気になるのは客数が同1.9%の減少で、28カ月連続のマイナスだったことだ。コンビニ各社の努力で、客単価が同3.0%増加し39カ月連続のプラスになったため、売上高は8080億円と同1.1%の増加となった。売上高が2カ月ぶりに前年を上回ったためあまり目立たないが、来店客の減少と言う流れに歯止めが掛かっていない。

 売上高の増加を続けるためには新規出店が手っ取り早いが、業界内では新規出店余地が「まだある派」と「もうない派」に分かれて、見解が錯綜している。そんな最中に、国土交通省が建築規制の緩和を目論んでいることが分かった。日本の都市計画では、地域ごとの用途が定められ、殊に住宅専用地域では商業施設の建築が規制されている。国交省は政省令で規制の緩和を行い、現状よりは弾力的にコンビニなどが開店できるようにする方向だ。

 少子高齢化の進展とともに売上規模を確保できなくなって従来型スーパーが撤退した地域では、徒歩圏内の商業施設へのニーズが強いという。出店適地を求めて鵜の目鷹の目のコンビニのニーズと、身近な利便性を求める地域のニーズがマッチすると、コンビニのビジネスチャンスが広がるかも知れない。

 問題は日々の売り上げ目標が確保できるかどうかである。繁華街やターミナルのように人が自然に集まる場所と、ほぼ定住者のみをターゲットにする地域では店舗政策の味付にも工夫が必要だ。買い物難民が救われても、経営に四苦八苦するようでは長続きしない。政省令の規制緩和が予想される19年の夏に向けて、コンビニの知恵比べが始まる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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