子供時代の環境が男性のテストステロンレベルに影響か

2018年6月29日 22:49

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記事提供元:スラド

headless曰く、 子供時代の環境が男性のテストステロン(男性ホルモン)レベルや第二次性徴の時期、体格に影響を与えるという、英ダラム大学やバングラデシュ・チッタゴン大学などの研究グループによる研究成果が発表された(ダラム大学の発表MedindiaNews Medicalnature ecology & evolution誌掲載論文)。

 生殖に対する男性のエネルギー投資はテストステロンレベルや第二次性徴の時期、体格で評価可能であり、周囲の人口レベルと相関関係がみられる。しかし、それが環境の影響で変動するのか、民族によるものなのかについてははっきりしていないという。

 研究では英国またはバングラデシュに住むバングラデシュ人男性および英国生まれの欧州系男性計359名を調査。調査対象者からは身長・体重・第二次性徴を迎えた年齢・健康に関する情報を収集したほか、唾液のサンプルからテストステロンレベルを測定した。移民時の年齢で比較すると、大人になってから移民した人やバングラディシュ在住者と比べ、思春期前に移民した人はテストステロンレベルが高く、第二次性徴の時期も早い。8歳未満で英国に到着した人では、その差がさらに大きくなったという。また、移民2世は背が高く、テストステロンレベルも高いほか、覚醒時のテストステロンレベルは欧州系の人よりも高かったそうだ。

 このことから、男性の生殖に対するエネルギー投資は子供時代の環境に影響を受けるとみられる。感染症の危険など多くの困難が待ち受けるバングラデシュで子供時代を過ごした人の場合、生存のためのエネルギー投資を優先し、テストステロンのレベルが低くなったと考えられるとのこと。男性の生殖機能は青年期にも変化するが、大人になってからの周囲の環境はテストステロンレベルに大きな影響を与えないことを研究結果は示唆している。

 高いテストステロンレベルは甲状腺の肥大や発がんリスクに関連するなど、極端に高い・低いテストステロンレベルは男性の生殖機能以外にも影響する。そのため、健康リスクを判断するにあたり、子供時代の環境を知ることも重要だと研究者は述べている。

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