豊洲の「千客万来施設」建設巡るトラブル、オリンピック後着工で合意

2018年6月3日 10:13

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豊洲市場。(c) 123rf

豊洲市場。(c) 123rf[写真拡大]

 10月に開場する豊洲市場に併設される予定であった「千客万来施設」。運営事業者として公募で選ばれていた万葉倶楽部と都との間で方針の食い違いなどを巡るトラブルが深刻化していたが、東京都と万葉倶楽部の間に合意と和解が成立し、オリンピック後の着工という形で決着する模様だ。小池百合子東京都知事が記者会見を開き、報道陣の前で語った。

 この施設はもともと、築地の観光地としての一面を豊洲に継承させる目的で計画された。2016年3月、万葉倶楽部の事業受注が決定。約1ヘクタールの都有地に、商業施設、温泉付きホテルなどを建設し、本来の予定であれば2018年8月から一部開業を開始する計画になっていた。

 しかし2017年6月に小池百合子東京都知事が築地跡地を「食のテーマパーク」にするという構想を提示したため、万葉倶楽部がこれに反発。築地再開発構想の撤回や、東京オリンピックの期間に工事がずれ込んだことなどで上昇した建設費の抑制などを求めていたが、都がこれに応じず、着工は遅れていた。

 これに関し、万葉倶楽部は5月28日、並びに31日に同社の見解を発表している。まず28日、東京都から「期限内に事業継続の意思について明示する回答」を求められたことに対して遺憾の意を表するとともに、「東京都からの状況説明が不十分であるため、実施する意図があるとしても実施はできない状況にある」と説明していた。同社の要求はまず築地再開発の知事方針の撤回である。また、どうしても結論を急ぐのであれば、相応の経費補償を行った上で契約の解除に応じる意思はあるとした。

 また31日、着工を2020年オリンピックの終了まで待ち、建設コストの高騰の問題を回避するなどの案も提案されていた。

 都はこれを受け、万葉倶楽部側が要求していた謝罪にも応じ、オリンピック後の着工までの間は同敷地は都で別途活用する方針を固めたとのことである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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