欧米為替見通し:ドル・円は小じっかりの展開か、米中貿易戦争の回避を好感

2018年5月21日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は小じっかりの展開か、米中貿易戦争の回避を好感
21日の欧米外為市場では、ドル・円は小じっかりの展開を予想する。米中通商協議を終え両国の貿易戦争への懸念がいったん収束したことで、リスク選好的なドル買い・円売りに振れやすい見通し。ただ、米トランプ政権によるイランに対する再制裁への警戒感は根強く、ドルの強い上昇は見込みづらい。
前週末まで行われた米中通商協議で、中国は米国からの農産品に関し輸入拡大を決めたほか、両国の追加関税については協議しながら進めることで一致。両経済大国による貿易戦争突入への懸念はいったん和らいだことから、リスク回避的な動きが巻き戻されているもよう。また、イタリアでポピュリスト政党と極右政党が連立協定案で合意し、反EU的な政策が不安視される。このため、ユーロ売りは継続し、ドル選好地合いを支援しよう。週明けのアジア市場では、日経平均株価が23000円の大台に乗せたこともあり、円売り基調が強まっており、ドル・円は111円30銭台に強含んだ。欧米市場ではなお上昇余地がありそうだ。
こうしたなか、今晩は重要経済指標の発表は予定されておらず、米長期金利の動向やトランプ外交が手がかりとなる見通し。米10年債利回りは、前週に2011年以来7年ぶりに3.12%台に水準を切り上げた後は3.05%台に大きく低下したが、週明け21日は徐々に水準を切り上げている。引き続き米長期金利の動向にらみの展開となり、111円後半を目指す展開となろう。反面、ポンペオ国務長官が発表する対イラン新戦略に注目が集まる。トランプ政権はイラン核合意から離脱を表明しており、イランに対する厳しい方針が示されれば、同国の激しい反発が予想され、地政学リスクが意識される可能性がある。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・21:30 米・4月シカゴ連銀全米活動指数(予想:0.48、3月:0.10)
・01:15 ボスティック米アトランタ連銀総裁講演(アトランタ経済クラブ)
・03:05 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁講演(NY、経営者金融サミナー)
・06:30 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁質疑応答
・休場:ドイツ(聖霊降臨祭月曜日)、カナダ(ビクトリア女王誕生日)《FA》

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