ドラマのクオリティは好評!「アンナチュラル」の魅力とは

2018年3月14日 07:28

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女優として確かな存在感を見せつける石原さとみ。彼女だけでなく窪田正孝や市川実日子もいい演技を見せている(c)TBS

女優として確かな存在感を見せつける石原さとみ。彼女だけでなく窪田正孝や市川実日子もいい演技を見せている(c)TBS[写真拡大]

■2018年1月期ドラマで最も勢いのあるドラマ

 2018年1月スタートのドラマもすでにラストスパートに差し掛かってきている。多くのドラマが放送されているが、その中でも安定した視聴率を保ったのが「アンナチュラル」だろう。

 「アンナチュラル」は今最も勢いのある女優といわれている石原さとみを主演に向かえた意欲作。法医解剖医として働く女性を主人公にし、不自然な死を迎えた人間の謎に迫るミステリー要素の強いドラマとなっている。少し難しそうに感じるが、「逃げるは恥だが役に立つ」でその実力を見せた脚本家・野木亜紀子による手腕により、心地よい展開が魅力のドラマに仕上がっている。

■「アンナチュラル」のあらすじ

 設立してから2年弱の「Unnatural Death Investigation Laboratory(不自然死究明研究所)」、 通称「UDIラボ」と呼ばれる研究機関がある。この研究所は不自然死となった遺体の解剖率を上げるために作られ、全国初の死因究明に特化した調査を行う機関として機能している。

 この機関に勤める法医解剖医の三澄ミコト(石原さとみ)は、解剖のことになるとつい熱中してしまう変わり者。彼女は同僚の東海林夕子(市川実日子)や久部六郎(窪田正孝)、さらに解剖医である中堂系(井浦新)と共にさまざまな「死」を解明していく。

 彼女たちが勤める機関は架空であるも、その設定は非常にリアルである。日本は8割以上の不自然死が解剖されていない。そうした水準を改善するために作られたUDIラボに集まった人間は変わり者が多く、それぞれが濃いキャラクターながら仕事に熱心に打ち込んでいる姿が印象的だ。

■人間の「死」を考えることで「生」を問う

 「アンナチュラル」は基本的に1話完結型のドラマ。その中でも大きな事件が存在しており、徐々にその事件の謎が解明されていく作りになっている。しかし、各エピソードのクオリティも高く、SNSなどでも放送終了後に話題となることが多い。

 たとえば、第7話では「殺人者S」と名乗る高校生が、インターネットを通じてミコトに「目の前にいる高校生の遺体の死因を究明せよ」と挑戦状を叩き付ける。しかし、調査の結果で割り出された死因は自殺であった。その結果に犯人の高校生は納得しなかったが、ミコトは彼に「これはあくまで解剖学的見解。でもその高校生はいじめによって殺された」と人間的なコメントを残す。さらに、復讐に失敗した殺人者Sに対して「あなたが死んでも、いじめた人は何も変わらない」と諭していく。

 ミコトは人の死を何人も見ている。それだけに人の生に関しても敏感で、生きることの尊さを理解している。その哲学が各エピソードに見え隠れしており、視聴者の心を打つ物語となっている。また、とても1時間とは思えない展開スピードにも定評がある。この辺りは2016年に大ブームを巻き起こした野木亜紀子による脚本が影響しているだろう。

 すでに9話まで終えた「アンナチュラル」だが、事件の核心に迫るエピソードに突入。生と死を問う本格派ドラマは今からでも見る価値がある。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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