大相撲初場所 厳しくも信頼回復への一歩を

2018年1月14日 17:18

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 大相撲初場所(東京・両国国技館)は14日に初日を迎えた。

 昨年、九州場所では場所中に発覚した元横綱・日馬富士による暴行問題、横綱・白鵬の取組後の行事軍配への抗議など前代未聞の事態が大きく取り沙汰され、1年の締め括りという意味では極めて後味の悪い場所となってしまった。

 多くの問題によって厳しい現実を突き付けられた格好の相撲界、ファンの期待に応えるためには何が必要か。

■未だ闇の中の暴行問題、さらなる不祥事も

 新年を迎えてもなお、新たに立行事による不祥事が判明し、初場所を前にして相撲界は揺れ続けている。

 毎年恒例となっていた天皇・皇后両陛下の初場所観戦も取り止めが決まり、9日に行われた明治神宮奉納土俵入りも観衆は昨年を大きく下回るものだった。それらは昨年からの一連の問題を踏まえた結果であり、角界を取り巻く空気が晴れる見通しは、ない。

 また、暴行問題では未だ解明されていない部分も多く、八角理事長をはじめとする相撲協会のリーダーシップ・統率力不足も露呈、土俵外の『雑音』を消し去るのはもはや容易なことではないだろう。

■信頼を取り戻すための第一歩として

 その中でも救いは最高位に君臨する3人の横綱の出場か。特に、1年前の初場所を制した稀勢の里は稽古での充実ぶりが伝えられてきた。九州場所で40回目の優勝を遂げた白鵬も、連日の出稽古では昨今指摘のあった立ち合い時のかち上げの改善に務めるなど「優等生」に徹し、最多優勝記録更新も含め、話題の中心であることに変わりはない。連続休場からの復帰となる鶴竜と共に、3横綱揃い踏みの場所として大きな期待がかかる。

 昨年九州場所で優勝争いを演じた北勝富士や貴景勝、御嶽海等、今年さらなる飛躍が期待される新鋭の台頭も含め、本来の主役であるべき力士たちの奮起が何よりも望まれる。

 初場所のチケットはすでに完売状態であることからもわかるように、ファンはまだ、大相撲を見捨ててはいない。1年の初めの場所、力士たちが一挙手一投足に強い想いを込めることこそ、信頼回復への道のりの第一歩となるはずだ。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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