人間の脳と同じ機能を持つ汎用人工知能2030年には実現する!?

2017年12月14日 10:20

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 2030年には人間と同程度の能力をもつ汎用人工知能は完成するのではないか。Newton誌のインタビューにそう答えているのは、ドワンゴのドワンゴ人工知能研究所所長、山川宏博士である。山川博士は汎用人工研究会の発起人の一人で、汎用人工知能分野における世界的権威とも言える人物である。

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 現在、主に使われている人工知能は特定の問題に応じて人間がモジュールを組み立てたものである。つまり、人間が設定した問題しか解けない人工知能と言えるだろう。

 それに対して汎用人工知能は、全脳アーキテクチャー、つまり人間の脳と同じような仕組みである。状況に応じて自分自身のプログラムを変更し、臨機応変に問題の対応ができる人工知能だ。従来の人工知能とは違い、未知の状況に対して仮説を立てられる能力を持っている。仮説と実験を繰り返し、その結果を学習することで、独自に改良、進化させていくことができるのである。

 汎用人工知能については、人間と同等あるはそれ以上の能力を持つことになるため、労働や医療、科学など、様々な分野での活躍が期待されている。地球規模の問題を解決する方法の提示など、人類の未来を切り開くために汎用人工知能の能力が不可欠であると考える科学者も存在する。

 逆に汎用人工知能の進化に対して警鐘を鳴らす科学者も存在する。

 汎用人工知能は進化のスピードが早く、人間に追いつき、追い越すことにより、人間では対応できない状況に陥る危険性である。すでに従来の人工知能が特定分野において、人間よりも能力が上回ってきていることは、ご存知の人も多いだろう。

 また山川博士も人工知能が高度に発展した際に引き起こす悲観的なシナリオとして2つのケースを挙げている。

 一つは道徳的収斂、ある種の人工知能の暴走である。一つの目的を設定すると、その目的のために資源などを枯渇させるなど、人類の生存を脅かしても、その目的を達成しようとすることである。

 二つめは、最初に開発した人工知能開発者による、富みの独占である。自分自身を猛烈に進化させる人工知能が登場すると、その人工知能に2番手以降の人工知能の進化が追いつけなくなる。結果的に最初の人工知能が多くの利益を独占してしまうというものである。

 ちなみに2030年には、脳のしくみも解明され、人工知能と脳の融合が可能になると予測している科学者も存在する。つまり、脳とインターネットを直接つなげるようになるなど、SF小説、アニメのような世界がもうすぐそこまで迫っているのかもしれない。(記事:和田光生・記事一覧を見る

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