「世界最重量硬骨魚」はウシマンボウ 日本の研究者が発表

2017年12月12日 10:54

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記事提供元:スラド

masakun曰く、 元広島大学の澤井悦郎博士のチームがフグ目マンボウ科マンボウ属の分類をめぐる混乱を解決し、今まで捕獲された魚類の中で「最も重い硬骨魚」はウシマンボウだったことを論文発表した(シュプリンガー・ネイチャーによる記事Togetterまとめ)。

 澤井博士のチームはマンボウ属Molaに属する種の学名を明確にするために500年前の記録を含む世界中の文献や1000個体のサンプルを調査。そして近年のDNAによる分類で3種が存在することを明らかにし、そのうちの1種は今年7月に新種カクレマンボウ(Mola tecta)として発表した。さらに残りのマンボウ属2種マンボウとウシマンボウの学名を特定するために、世界各地の生鮮標本と博物館保存標本を含んだ30点の標本を詳細に調査。その結果、マンボウにはMola mola、ウシマンボウにはMola alexandriniの学名をそれぞれの種に適用すべきであるという結論に達したという(発表論文)。

 なお日本周辺海域で漁獲されるものはほぼマンボウ1種に限られると考えられていたが、頭部の出っ張りゆえに東北の漁師たちはウシマンボウと区別していたことを今年2月放送のタモリ倶楽部で澤井博士自ら紹介していた。さらにギネス世界記録には世界最重量の硬骨魚としてマンボウが登録されていたが、博士は1996年に鴨川沖で捕獲されたマンボウ(2300kg)がウシマンボウであると同定した。

 このニュースの反響なのか、澤井悦郎博士が著した「マンボウのひみつ」 (岩波ジュニア新書) がAmazonの魚類学の売れ筋ランキング 1位になっている。中の人は「日本メディアは取り上げてくれないが、#ギネス世界記録 を書き換える成果!願わくば安定した収入得ながらもっとマンボウ研究させてくれえええ!」と切実な願いをつぶやいている。

 余談だが、日本近海に生息するマンボウ科にはマンボウ属、ヤリマンボウ属、クサビフグ属がある。

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