【マカオレポート2017】インタビュー マカオのデザイナー6人のビジョン(2/2)

2017年11月1日 11:12

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記事提供元:アパレルウェブ

■ヴィクター・ラオ「CLASSICO MODERNO」


セレブ衣装を手掛けるデザイナーが昨年スタート メンズ服の可能性を広げる
 長年ハイエンドブランドに携わり、セレブリティーの衣装デザインも数多く手がけてきたヴィクター・ラオが2016年に立ち上げたメンズブランド「CLASSICO MODERNO」。前年のMFF2016で発表した2016秋冬コレクションで、第4回サンプル製作コンテストを受賞した。“モダン・アーミー”をコンセプトにした同コレクションは、ミリタリー服のディテールを施したグレーのセットアップスーツ群。ポルトガル領時代のマカオを表現したもので、袖部分に施した印象的な白のラインは、マカオの旗をモチーフにしたもの。「マカオは昨秋冬、いつになく寒かったから、ウール素材などのアウターもよく売れたんだ」とラオ。女性客の購入も多いことについて、「ルックブックでは、女性モデルも起用している。女性のボーイフレンドルックもありだと思うし、ユニセックスで幅広い着こなしを提案したい」


第4回サンプル製作コンテストで受賞した2016秋冬コレクション「モダン・アーミー」。
2016年のMFFでランウェイショーを行った。

 オーダーメイドによる注文服づくりも並行して行っている。顧客は24~35歳の男性が中心で、価格はスーツで3,000パタカ(4万5,000円)前後。「マカオにいると素材調達に苦労するのは確か。香港の代理商と組み、新作を定期的にチェックしたり、日本や台湾、タイなどに行った時に面白い生地があれば、サンプルとして購入することもある」とするが、「でもマカオ市場は、まだ伸びしろがあると思っている」という。

 2015年には、香港のスーツブランド「unEnding」がマカオでフランチャイズ展開を開始。そのオペレーション・ディレクターに就任するなど活動の幅を広げてきた。「春夏コレクションはマカオで、秋冬コレクションは海外で発表できるようなペースが理想。マカオでの認知度を上げながら、将来的には、東南アジアや韓国の市場にも挑戦したい」



MFF2017で発表した2018春夏コレクション

「CLASSICO MODERNO」フェイスブック

■ラライスミ・ワイ「POURQUOI」


ララも通ったマカオ唯一のファッション&クリエイティビティーのスペシャリスト養成機関
「ハウス・オブ・アパレル・テクノロジー」(HAT)で撮影。
日本の古着をオンラインで購入するのも好きだという。
日本のロリータをルーツとするコンセプチュアルな服づくり
 「私がデザイナーになるきっかけは、日本のロリータファッションだった」と話すのは、「POURQUOI」のデザイナー、ラライスミ・ワイ(通称:ララ)。「母親が服を作る仕事をしていたこともあり、幼い頃からファッションが好きだったが、ちょうど中・高校生時代に日本のロリータファッションが流行り始めて。友達に教えてもらった時から夢中になった。日本のファッション雑誌を取り寄せたり、ネットで情報をチェックしたり。私は(ファッション雑誌の)「装苑」を読んで育ったようなもの」と振り返る。「でも、ロリータファッションは、頭のてっぺんからつま先までトータルで表現することが必要だし、お金もかかってしまう。何とか自分で作れないかなと思ったのが、デザイナーを目指すきっかけだった」。ファッションデザインとマーケティングを学ぶため、台湾実践大学、エスモード北京校に留学した。

 2014春夏のデビュー以来、ロリータなど日本文化に影響を受けたコレクションを数多く発表。和着物のディテールを落とし込んだデザイン(2015秋冬)や、作家・綿矢りさの小説「夢を与える」に着想を得たストーリー性の強いコレクション(2017春夏)もある。最新コレクションの2018春夏は、ポルトガル様式の建築物が残るマカオの明るい街並みをカラーリングに反映させつつ、日本の下駄をスタイリングに取り入れている。


綿矢りさの小説「夢を与える」にインスピレーションを受けた2017春夏コレクション
「POURQUOI」facebookより)

 現在はマカオや台湾を中心に顧客を抱える。パリのトラノイや香港センターステージ、上海ファッションウィークなど数々の海外展示会に参加してきたが、見据える市場は、やはり日本だ。

 「マカオファッションフェスティバル」開催1週間前の10月12~15日には、中国で行われた展示会「モード上海」に参加。日本を含め欧州のバイヤーが興味を示した。「日本のバイヤーは海外の展示会に参加することが多いと聞き、日本の展示会に参加するべきか迷っている」としながら、「デザイナーになったきっかけをくれたのは日本のファッションだし、ぜひチャレンジしてみたい。個性の強いブランドだから、日本の市場にもマッチすると思う」と意欲を見せる。



MFF2017で発表した2018春夏コレクション。コンセプトは“PUZZLE OF LIFE”。
レゴブロックで作った下駄をスタイリングした。

「POURQUOI」

■ジディオン・タム「KC GIDEON」


英・中で活動 独自スタイルを確立するニットウエアデザイナー
 英国を拠点に欧州で堅調なビジネスを維持しているのがジディオン・タムが手がけるニットを中心としたメンズブランド「KC GIDEON」だ。ニット工場を営んでいた母の影響で幼い頃からファッションに興味を持ち、16歳で渡英。だが、本格的にニットウエアを作りたいと感じたのは、英キングストン大学でファッションデザインを学んでいた頃のことだった。「ニットウエアを目にする機会は多かったが、いいデザインを見つけても質がよくなかったり、反対に、質のいいものはデザインが今ひとつだったり。それならば、デザインと質を両立したニットウエアを自分自身で世に出してみたいと思った。それが自身のブランドを作るきっかけだった」。英・仏のハイブランドで経験を積み、2006年に「KC GIDEON」を立ち上げた。

 現在は、布帛アイテムも発表するなどアイテムの幅を広げる。コットンやヘンプ、シルク、メリノウール、アンゴラ、モヘアなどの上質素材を用いたクラシックでエレガントなスタイルは、欧州に根強いファンを持つ。近年はメンズウエアが世界的に広がりを見せるが、「男性アーティストに衣装提供する機会が増えており、男性のファッションに対する意識に変化が起きていることを実感する。だが、ファッションにアーティスティックな面を持ち込んだ点が私のブランドの特徴。単にトレンドを追うのではなく、“ほかのブランドにはないスタイル”にこそニーズと商機があると感じている」

 広州にも拠点を持ち、今年から中国市場への市場開拓に力を入れている。マカオファッションフェスティバルの前の週には、上海での展示会に参加。2回目の出展だったが、10数件の契約が決まるなど、幸先のいいスタートを切れたという。

 日本市場での事業拡大にも意欲を見せる。「日本にはファッションへのこだわりが強く、感度の高い男性が多い。また、ブランドの認知度ではなく、スタイルやデザインそのもので評価してくれるのが魅力。ビジネス面においても、とても誠実に対応してくれる」

 マカオ出身デザイナーとして、海外で長年活動する先駆者的な存在だ。「マカオ出身であることにアドバンテージや不利だと感じたことは特にない。私自身が周りの人に恵まれて来たということもあるが、ファッションは国籍で判断されるものではなく、アイディアの交流だから」とポジティブな見方を示す。「「クロコダイル」とコラボレーションをしたこともあるが、老舗ブランドのクラシックなスタイルを生かしつつ、新しいアイディアをぶつけ合うのはとても楽しい経験だった。今後も、自分とは異なるスタイルのブランドやデザイナーでも、目指す方向性が同じであれば、積極的にコラボレーションしていきたい」



2018春夏コレクションは、漁業が盛んなマカオの街が着想源。
海辺に並べられた牡蠣の貝殻が陽の光を反射して光り輝く様子も表現しているという。

「KC GIDEON」は、第4回サンプル製作コンテストの受賞者として、2016秋冬コレクションも披露。
ニットによる繊細な表現が際立った。

「KC GIDEON」

※金額は1パタカ=15円で計算
(取材・撮影:AW編集部・戸)

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