村田製作所、グローバルトップの部品メーカー目指して積極投資

2017年10月23日 07:00

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 村田製作所は16日、石川県で6番目となる生産工場として、能美工場をソニーから譲り受けたと発表した。

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 村田製作所は電子部品業界で優位を占めているが、韓国のサムスン電子や中国メーカーも着実に力をつけており、価格競争が激化している。こうした中、スマホに搭載する高機能基盤の新工場を立ち上げることにより、優位を占めているモバイル通信を主体とした市場でさらに競争力を高め、拡大することを目指している。

 村田製作所は、1944年京都市で村田昭によって創業され、碍子などの陶器製品の製造から出発して、積層セラミックコンデンッサーでトップシェアを占めて世界有数の電子部品メーカーへと成長してきた。

 成長市場の電子部品業界では、アジア勢が急速に追い上げてきており、品質・価格両面で厳しい競争にさらされている。そうした中でセラミックをベースとした積層セラミックコンデンサ、圧電センサ、通信モジュールなど多様な電子デバイスを生産・販売し、積極投資を進め新商品の開発を加速、グローバルNo.1部品メーカーを目指す村田製作所の動きを見てみよう。

■前期(2017年3月期)実績と今期(2018年3月期)見通し

 前期実績は、売上高1兆1,355億円(前年比94%)で営業利益は前年より742億円減の2,012億円(同73%)であった。

 営業利益減少の要因としては、競争の激化による売価値下げ1,170億円と輸出比率92%の中、前年に比較しての円高(1ドル120.1→108.4円)による420億円の減少に対し、操業度の向上により470億円、合理化効果により420億円増加した結果である。

 今期見通しは、売上高1兆2,550億円(同108%)、営業利益は前年より248億円増の2,260億円(同112%)を見込んでいる。

 営業利益増加の要因としては、操業度の向上により1,350億円、合理化効果により560億円の増加に対し、売価値下げによる減少1,260億円を見込んでいる。

■主な製品別の前期売上高と今期の見通し

 1.コンデンサ 前期売上高3,695億円(構成比33%、前年比101%)

 主力の積層セラミックコンデンサはスマホ向けに数量増加したが、円高と価格下落により減少、自動車電装化の進行で車載向けが好調、今期は4%増を見込む。

 2.圧電製品 同1,700億円(同15%、同105%)

 マルチバンド対応のスマホの普及で表面波フィルタが伸長、自動車の安全装置向けの超音波センサが好調、今期は8%増を見込む。

 3.その他コンポーネント 同2,223億円(同20%、同96%)

 スマホ向け高周波コイルは増加したが、コネクタの採用モデルが減少、今期は3%増を見込む。

 4.通信モジュール 同3,257億円(同29%、同82%)

 近距離通信モジュール、通信機器用モジュール、多層モジュールが円高や採用モデル数の減少、大口顧客向けのシェア低下により大幅減、今期は6%増を見込む。

■新商品売上高比率40%を目指して設備投資と研究開発の加速

 設備投資額は2014年まで約1,000億円以下であったが、前々期1,725億円、前期1,586億円となり、今期は1,700億円の見通しで、研究開発費は2014年まで600億円未満であったが、前々期650億円、前期818億円となり、今期見通しは900億円と急速に増加させている。

 通信市場を中心とする既存事業の成長に加え、自動車、エネルギー、ヘルスケア・メディカル分野を注力市場として、新商品開発を加速する村田製作所の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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