NEDO、計算科学や人工知能活用したナノカーボン材料の研究開発スタート

2017年6月16日 12:06

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記事提供元:エコノミックニュース

 日本が強いとされる材料分野の競争力を今後も維持、強化していくためには、新しい機能性材料と応用製品をスピーディーに創出し続けていくことが必要だ。そこで国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、試作回数や開発期間の大幅短縮を図るために、計算科学や人工知能を活用した革新的な材料開発手法の研究開発を2016年度から進めている。

 今回、ナノカーボン材料(カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン)を対象に研究を実施する3者(古河電気工業<5801>、日本ゼオン<4205>、国立研究開発法人産業技術総合研究所)の共同提案を追加採択した。追加事業では、応用製品の開発に時間がかかると考えられていたナノカーボン材料をターゲットとして、製品中の材料の複雑な挙動と機能を推測する革新的なマルチスケールシミュレーション手法などを構築することで、材料開発の抜本的なスピードアップを図る。計算科学や人工知能を使いこなすことで、材料産業の競争力強化を目指す。

 日本で発見されたCNTなどのナノカーボン材料は、産学官の継続的な取り組みを経て、製造法や合成法の開発が進められてきた。しかし、ナノカーボン材料が持つ性能を十分に引き出した応用製品を世界に先んじて開発していくためには、材料の構造と電気・熱特性の最適化や、他の材料との相互作用の制御など、技術的なブレークスルーが必要とされている。

 従来、材料の複雑な構造や相互作用を制御するためには、膨大な時間とコストをかけ、繰り返し大量のパラメーターについて実験する試行錯誤的なプロセスが必要だった。今回、このプロセスを大幅に短縮し、よりスピーディな材料開発を実現するために、計算科学や人工知能を活用した革新的な材料開発手法を構築する。材料の構造と電気・熱特性の最適化や他の材料との相互作用の制御を可能とすることで、CNTを応用した軽量電線、高耐熱・高強度のCNT複合ゴム材料、グラフェン透明導電フィルムなど応用製品の早期実用化を目指す。(編集担当:慶尾六郎)

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