【柔道】世界選手権代表、未定の3名を発表 90キロ級は派遣見送り

2017年4月30日 21:33

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 全日本柔道連盟(全柔連)は29日、全日本選手権終了後に強化委員会を開いた。その場で男子100キロ超級、90キロ級、未定となっていた2人目の代表などの選考が行われた。

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■男子個人戦代表は

 100キロ超級: 王子谷剛志(旭化成)、原沢久喜(日本中央競馬会)
 100キロ級: 羽賀龍之介(旭化成)
 90キロ級: 代表なし

 男子100キロ超級の代表は、全日本選手権で12年ぶりの連覇を果たした王子谷、2人目としてリオ五輪100キロ超級銀メダルの原沢、リオ五輪男子100キロ級銅メダルの羽賀が選出された。

 王子谷は文句なしの選出。昨年は全日本選手権に優勝しながら、リオ五輪代表からは漏れて悔しい思いをした。リオ五輪後は苦手なウェイトトレーニングにも積極的に取り組んでパワーアップ。

 昨年11月の講道館杯で優勝すると、12月のグランドスラム(GDS)東京、今年2月のGDSパリ、4月の選抜体重別と4大会連続優勝。そして、全日本選手権も連覇してこれで5大会連続優勝で世界選手権に臨む。

 全日本男子の井上康生監督も、「派手さはないものの、確実に勝つ柔道ができる。どんなタイプの選手にも対応できる準備をしている」とコメントするなど高い評価を得た。

 原沢は全日本選手権で3回戦敗退。これで、グランプリ(GP)・デュッセルドルフ、選抜体重別を含めて3大会で優勝がない。しかし、海外での実績や世界ランクなど1年間の実績を考慮して選出された。

 羽賀についても同様で、出場予定だったGPデュッセルドルフは怪我のために欠場。選抜体重別でも、後輩で全日本選手権準優勝のウルフアロンに12分近い激闘の末、指導2で敗戦。代表の座を後輩に譲った形となっていた。

 しかし、これまでの海外での実績や世界ランクなど1年間の実績を考慮して、2人目として選出された形となった。

 その他、ここ最近頭角を現した選手に影浦心(東海大学)がいるが、GPデュッセルドルフで優勝したものの、講道館杯で3位、GDS東京と選抜体重別では2位に終わり、「目立った活躍はしていない」として代表から漏れた。

 影浦については、これから国際大会の経験値を積んでくれば世界選手権の代表に選出しても面白い存在。これからの努力に期待したい。

 ベイカー茉秋(日本中央競馬会)の右肩検査結果待ちとなっていた90キロ級については、右肩手術後に本人から代表辞退の申し出があり、他に有力な候補が見当たらないことから派遣見送りとなった。

■男子団体戦代表は?

 最終日に行われる男子団体戦代表として、以下の4人が選出された。

 66キロ級 橋口祐葵(パーク24)
 73キロ級 中矢力(ALSOK)
 81キロ級 渡辺勇人(了徳寺学園職)
 90キロ級 長澤憲大(パーク24)

 ベテランと東京に向けてのホープが選出される形となった。

 男子団体は14年、15年と連覇しており、今大会は3連覇がかかる。

■90キロ級派遣見送りについて

 90キロ級はベイカーから代表選出辞退の連絡があり、他に有力な候補が見当たらないことから派遣見送りとなった。男子で派遣見送りとなったのは、14年世界選手権(チェリャビンスク)100キロ級以来2度目となる。

 90キロ級は世界各国から有力選手が集まりやすい階級で、日本にとって鬼門となりやすい階級となっている。これは、今回永瀬貴規(旭化成)が派遣されている81キロ級も同様だ。

 90キロ級では今回団体戦代表に選ばれた長澤や、10年、11年世界選手権銀メダルの西山大希(新日鐵住金)がいるが、いずれも決め手に欠ける。また、両者とも国際大会では結果を残しておらず、男子では唯一国際大会の優勝者がいない階級となっていた。

 81キロ級は渡辺が追っている状況だが、やや怪我が多いのが気になる。その他、佐藤正大(自衛隊体育学校)や小原拳哉(パーク24)などもいるが、いずれも国際大会では結果を残せていない。

 これらの階級は第一人者の選手が怪我などで出場できなくなると、派遣見送りとなる可能性が高い。しかし、東京五輪まではまだ3年もある。そして、その間に開催される国際大会もたくさんある。

 数多くの選手にできるだけ多く国際大会の経験を積ませて、選手を発掘することが急務だ。これについては、金野潤強化委員長や山田利彦強化副委員長らをはじめとした強化委員会の手腕に期待したい。(記事:夏目玲奈・記事一覧を見る

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