九大、未知の鉱物を発見

2017年4月27日 08:31

印刷

岩石試料(左上)と、その電子顕微鏡反射像。中央の明るい部分が今回発見された新鉱物であるが、無色透明であるため肉眼で見分けるのは難しい。(画像:九州大学発表資料より)

岩石試料(左上)と、その電子顕微鏡反射像。中央の明るい部分が今回発見された新鉱物であるが、無色透明であるため肉眼で見分けるのは難しい。(画像:九州大学発表資料より)[写真拡大]

 九州大学の研究グループは、広大なロウ石鉱床を持つことで知られる山口県阿武郡阿武町の鉱物学的調査を行っていた際、未知の鉱物を発見した。その詳細な鉱物学的分析を行い、国際鉱物学連合の新鉱物・鉱物名・分類委員会に申請、これが受理され、この新鉱物は阿武石(あぶせき 英語名abuite、アブアイト)と命名された。

【こちらも】隕石中から太陽系最古の新鉱物が発見 原始太陽系への手がかりか

 山口県は古くから鉱業が盛んであり、鉱物学・地質学の研究も盛んに行われてきたが、新種が発見されたのは同地では初のことであるという。

 では、ロウ石とは何か、というところから話していこう。ロウ石とは蝋石であり、蝋のように白く、またぬるぬるとして柔らかいというところからこの名がある。ロウ石は単一の鉱石の名ではない。葉ろう石(パイロフィライト)など、いくつかの鉱物の集合体である。流紋岩やデイサイトなどが熱水作用をうけることによって生まれた、と考えられている。

 あまり一般的な知名度のあるものではないだろうが、特に耐火性に優れるという特徴があることから、様々な用途に用いられている。たとえば、小さく切断すれば筆記具となる。鉛筆が普及する以前には、日本でも教育現場などで広く用いられていた。格別筆記に優れているというわけではないが、火と水のいずれにも強いという性質を持つため、造船所など特殊な環境に限られるが、今でも用いられている場所もある。

 ちなみに日本は歴史的に見てロウ石の生産大国であり、20世紀の終わり頃、1992年の記録では世界一の産出量を誇ったという。

 さて、では今回発見された阿武石の話に移ろう。この石の理想化学組成はCaAl2(PO4)2F2であり、極めて限られた環境でしか生成されない、珍しい鉱物であることは間違いないという。母岩と熱水が反応する際に、リンを含む流体が関与することが生成の引き金などではないかと見られている。

 なお、この発見の詳細は、日本鉱物科学会の欧文誌JPMSに掲載される。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事