プリンスホテル、仮想空間で挙式体験、企業でのVR活用進む

2017年4月16日 07:11

印刷

フォレスターナ軽井沢 パーティーイメージ(プリンスホテルの発表資料より)

フォレスターナ軽井沢 パーティーイメージ(プリンスホテルの発表資料より)[写真拡大]

 プリンスホテルは14日、VRを使った挙式体験サービスを開始すると発表した。ゲームなどでの利用が多いVRだが、徐々に企業がマーケティングツールとして活用を始めている。2016年にはすでにイケアやH.I.S.が導入した。場所や時間に捉われない仮想体験は、一般消費者の行動を変える可能性を秘めている。

 VR(バーチャル・リアリティ)は仮想現実とも呼ばれ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)と呼ばれる機器を頭に装着し、映し出された映像の世界を、現実のように体感できる技術のことだ。昨年にはソニーが「PlayStationVR」を発売するなど、世界各国で製品の販売が相次ぎ、2016年は「VR元年」と言われている。

 今回プリンスホテルはこの技術を使い、軽井沢プリンスホテル「フォレスターナ軽井沢」で行う挙式や披露宴を、品川プリンスホテル内のウエディングサロンで体験可能にする。軽井沢での挙式を検討しているカップルは、実際に現地へ足を運ばなくても見学ができるわけだ。今後は軽井沢以外のリゾートウエディング施設の映像も追加される予定だ。

 10日にはインテリアショップ「Francfranc(フランフラン)」を展開するバルスがVRを利用すると発表している。家具などの大型インテリア用品は、実際に部屋に置いたときのスケール感やコーディネートをイメージしにくい。仮想空間に配置することによって、よりリアルにイメージできるようになる。このサービスはまず27日にリニューアルオープンする梅田店からスタートする。

 企業でのVRの導入は、「場所」と「時間」の制限から消費者を解放し、商品やサービスの購入までの行動パターンを変える可能性がある。今回のプリンスホテルの例でいえば、「結婚前のカップルがお互いの日程を調整し、お金をかけて遠方の結婚式場まで赴き、会場の下見をする」という負担を減らしてくれる。会場決定までの時間が短くなるという変化を促すことになる。

 MM総研が2017年1月17日に発表した「ARとVRに関する一般消費者の利用実態と市場規模調査」によると、2016年度のコンテンツを含めたVR関連市場は82億円の見通しという。また2021年度には、VR関連市場は1,756億円に拡大すると予想している。企業のマーケティングツールとしての導入も拡大しそうだ。(記事:高橋珠実・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事