【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆重要発表ラッシュ直前の膠着◆

2017年3月19日 10:05

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記事提供元:フィスコ


*10:05JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆重要発表ラッシュ直前の膠着◆

〇週末に掛け、重要イベントラッシュ、動けず〇

昨日の日経平均の日中値幅は37.93円。14年9月1日以来の小ささと伝えられた。商いの1/4は東芝株で、一時の8%安から持ち直した。東芝の記者会見を見たが、肝心なことは何も決まっておらず、質問側にも諦め感のようなものが漂った。東芝が発表した資料による買戻し相場というより、急遽、15日から訪米すると伝えられた世耕経産相のWHを巡る対米協議に関心が集まっていると思われる。

東芝株は、信用買い残(10日現在)1億1499万株、信用売り残1億643万株、貸株などによる空売り残(13日現在)1億2291万株を抱える。昨日の出来高は4億3734万株。監理ポスト行きと日経225採用継続が発表された。決算発表期限は4月11日で、決着は年度を跨ぐ公算が強まった。機関投資家による持ち株外しの動きが新年度入り相場での波乱要因になるリスクを抱えたままになると見られる。

本日は、中国全人代閉幕による李克強首相の記者会見が予定されている。16日未明の米FOMC結果発表とイエレン議長記者会見、オランダ下院選挙の大勢判明が16日午前中、昼頃には日銀金融政策決定会合結果、引け後に黒田総裁記者会見、時間は不明だがティラーソン米国務長官が来日し、安倍首相等と会談する。待機姿勢はなお続くと考えられる。

李克強首相は中国経済の「順調」さを強調すると見られるが、対米交渉を意識した構造改革に何処まで踏み込んだ発言をするか注目される。また、韓国に強烈な「THAADバッシング」を行っており、韓国製品のボイコットや旅行制限など矢継ぎ早だ。台湾に対しても、蔡総統批判として、輸入不許可製品の4割が台湾製品となる事態に深刻化している。漁夫の利的に、日本製品の需要が順調に推移している可能性があり、1-3月期の企業業績を下支える公算がある。

4月上旬(6-7日頃が有力)に米中首脳会談がセットされる可能性があり、また、北朝鮮を巡る緊迫感も継続状態にあるので、それらに対する中国の姿勢を探ることになろう。一説によると、中国の空家は20億人分との話がある。有名な「鬼城」(ゴーストタウン)が中国全土に3500カ所、34億人分の住居スペースがあると言う(全人代で報告されたと言うが、ニュースになっていない)。最も有名な内蒙古自治区オルダス市のカンバシ新区に続き、天津・新工業区、昆明新都心、貴州省貴陽郊外、重慶新都心、遼寧省栄口など、続々と誕生しているとされる。1-2月統計で伸び率が低下した個人消費が象徴するように、商業施設を作っても直ぐに閉鎖に追い込まれる所は枚挙に暇がないようだ。中国の矛盾暴発リスクも念頭に置いて見て行く必要がある。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/3/15号)《WA》

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