【今週の振り返り】脱力しながらミステリアスに26円上昇した週

2016年12月24日 12:24

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記事提供元:エコノミックニュース

海外投資家はクリスマスモードで「脱力」。「掉尾の一振」は、まだちょっと先。トランプ・ラリー特急も停車かと思いきや、週間騰落が土壇場でプラスに変わる不思議。

海外投資家はクリスマスモードで「脱力」。「掉尾の一振」は、まだちょっと先。トランプ・ラリー特急も停車かと思いきや、週間騰落が土壇場でプラスに変わる不思議。[写真拡大]

 19日の日経平均は10営業日ぶりの小幅反落。前週末16日のNYダウは8.83ドル安。ヨーロッパ市場が堅調で、住宅着工件数は-18.7%で市場予測を大きく下回っても原油先物価格が51ドル台まで上昇したので午前中はプラスを保ったが、南シナ海でアメリカ海軍の無人潜水艇が中国海軍の艦船に「捕獲」されたニュースで地政学的リスクが意識されマイナスに沈み、そのまま浮上せず。NY時間の為替はドル円が118円近辺、ユーロ円が123円台前半。大阪夜間取引終値は19260円。CME先物清算値は19305円。19日朝方の為替レートはドル円が117円台後半、ユーロ円が123円近辺で、円高方向に振れていた。

 日経平均始値は55.31円安の19345.84円。高値は1時44分の19399円。安値は10時35分の19307円。終値は9.55円安の19391.60円。取引開始前に財務省から11月の貿易統計速報値が発表された。貿易収支は1525億円の黒字で、市場予測より小さいが3ヵ月連続黒字。前年同月は赤字だった。日銀が発表した資金循環統計で9月末の家計が保有する金融資産残高の速報値は+0.6%の1752兆円。3四半期ぶりの上昇。企業の現預金残高は+8.5%の246兆円。日本国債の日銀保有残高は413兆円で、全体の37.9%を占め1位。2位は国内銀行で20.0%。海外は10.3%しかない。国内で日銀と銀行が57.9%も保有するから、財政の危機感が生じにくい。

 日経平均は為替の円高を嫌気して19350円を割り込んで始まる。TOPIXもマイナス。序盤は19300円台で乱高下するがプラスにはならない。9時台はおおむね19300円台後半で動いていたが、10時台は19300円台前半に水準を下げ、安値更新。それでも3ケタ安にはならない。為替のドル円の円高が117円台前半まで進んでいた。11時前には19300円台半ばまで戻し、前引けは43円安。TOPIXも4ポイントのマイナスで日銀のETF買い出動の条件を満たした。総裁や理事が会合をやっていても、買入実行部隊はスタンバイ?

 ドル円は117円台半ばまで円安方向に戻るが、後場は前引け水準で再開する。0時台は19300円台後半だがプラスに戻りそうで戻れない。1時台はいったん後場の安値をつけた後、為替の円高に逆行して後半マイナス幅を圧縮し、高値を更新しながら前日終値手前でしばらく躊躇し、あと2円まで迫りながら折り返すという芝居がかった展開。2時台も為替のフォローがなく、日銀会合結果発表前でもあるため19380~19390円近辺でウロウロしながらプラスにタッチできないもどかしい展開が続く。TOPIXのほうは金融関連セクターが軟調で、16日配信開始の「スーパーマリオラン」の一律1200円の買い切り課金が日本のゲームユーザーの間で不評な任天堂<7974>も下落。開発と運営で手を組むDeNA<2432>も連れ安した。日経平均は結局小幅安で10営業日ぶりに反落し、ついに年貢の納め時がやって来た。TOPIXも3営業日ぶりに反落。JPX日経400もプラスの時間帯があったが反落。日経平均先物日中取引もマイナスで終わった。日銀の742億円のETF買いは入っていたが、〃正義の味方〃も力及ばず、か?

 新規IPOが2件。住宅関連企業を対象に住宅事業総合ソリューションサービスを提供する日本モーゲージサービス<7192>がジャスダックに新規上場。公開価格2010円より39.8%高い2810円の初値がついて白星。商業施設の企画、設計、監理、施工などを手がける船場<6540>が東証2部に新規上場。公開価格1290円より7.51%安い1193円の初値がついて黒星。今年の東証2部への新規上場は5件だけだったが、3勝2敗で下半期は連敗し、成績は良くない。来年はますます東証マザーズ、ジャスダックに流れそうだ。

 日経平均終値は9.55円安の19391.60円、TOPIX終値は-1.61の1549.06。売買高は17億株でアメリカ大統領選挙投票前の11月8日以来の20億株割れの薄商い。売買代金は終盤かろうじて2兆円超えの2兆1437億円。月曜とはいえ、海外投資家は早くもクリスマスモードか? 値上がり銘柄数は856、値下がり銘柄数は1022。プラスは10業種で、その上位は医薬品、電気・ガス、食料品、小売、化学工業、陸運など。マイナスは23業種で、その下位は海運、その他製品、鉄鋼、証券、非鉄金属、銀行など。上海総合指数は0.16%安だった。

 20日の日経平均は3ケタ高の反発。ドイツのIFO企業景況感指数は111.0で11月から0.6ポイント上昇し、2014年2月以来の高水準。ところが、首都ベルリンのクリスマス用品を売る露天市にトラックが突入するテロが発生し死者12名。トルコのアンカラではロシア大使が警察官に撃たれて死亡。ブリュッセルやチューリヒでも銃声が響き、IMFのラガルド専務理事にフランスの裁判所が有罪判決と、ヨーロッパとその周辺ではバッドニュース続々。地政学的リスクでユーロが売られ金先物は上昇したが週明けのNYダウ終値は39ドル高。NASDAQもS&P500もプラス。イエレンFRB議長がボルティモア大学での講演で「労働市場は過去10年間で最も力強い」と述べたのを好感した。原油先物価格も52ドル台まで上昇。ドル円はトルコの事件で一時116円台までドル安が進行したが117円台前半に戻す。ユーロ円は121円台後半。大阪夜間取引終値は19340円。CME先物清算値は19375円。

 日経平均始値は23円安の19367円。高値は1時59分の19511円。安値は取引開始直後の9時00分の19356円。終値は102円高の19494円。地政学的リスクの余韻なのか日経平均は小幅安で始まりTOPIXもマイナス。9時台は上下に振れながら水準を上げ、プラスにも19400円にもタッチする。ドル円もやや円安方向。しかし9時前をピークに折り返して10時台は下向きで、おおむね小幅マイナス圏で動きがだんだん小さくなる。日銀会合は「何もない」がマーケットのコンセンサスだが、やはり気になる? 小幅マイナスの19380円台主体の小動きが11時台も続き、前引けは5円安でTOPIXもマイナス。連日だが日銀のETF買いが入る条件を満たした。

 正午すぎ、日銀金融政策決定会合の結果発表。大方の予想通り金融政策現状維持。景気見通しは1年7ヵ月ぶりの上方修正。「イベントは、それを通過することそれ自体が好材料」で、今年最後の中央銀行イベント通過で後場の日経平均はプラスに変わって再開。19400円台に乗せて高値更新。当初は高値追いせず19400円台前半の小幅プラス圏で小動き。ところが、1時台に為替のドル円が117円台後半まで上昇すると、ロケットに点火したのように日経平均が「発射」され、この日の高値も、16日に更新したザラ場ベースの年初来高値19439円も、19450円も、19500円も突破し、2時前に19511円まで一気に上昇する。

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