5月の貿易収支、2カ月連続の赤字―原油安で赤字幅は縮小

2015年6月17日 11:34

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貿易収支の推移を示す図(財務省の貿易統計より編集部で作成)

貿易収支の推移を示す図(財務省の貿易統計より編集部で作成)[写真拡大]

 財務省が17日発表した5月の貿易統計(速報)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2160億円の赤字となった。赤字は2カ月連続である。赤字幅は、前年同月の9172億円に比べて76.5%の大幅な減少となった。輸出が順調な上、原油、液化天然ガスなど発電燃料の輸入が大幅に減ったことが大きい。

 輸出入を品目別に見ると、輸出では、半導体などの電子部品が前年同月比11.8%、船舶が同37.1%、ポンプ・遠心分離機が8.8%それぞれ増加した。輸入では、通信機が同51.3%増加したものの、原粗油が同31.7%、液化天然ガスが同44.1%、鉄鉱石が同43.0%それぞれ減少した。輸出は、円安による価格押し上げ効果で、9カ月連続の増加となっているが、海外経済の減速で、増加幅は同2.4%と小幅な伸びにとどまっている。

 地域別では、米国向け輸出が自動車などの増加で同7.4%増、輸入も航空機、石油製品の増加で同11.5%増となった。差し引き収支は4037億円の黒字で、同1.2%増加した。米国向け黒字は9カ月連続である。

 EU向け収支は590億円の赤字で、赤字幅は同10.0%増加、5カ月連続の赤字となった。アジア向け収支は3290億円の黒字で、同134.5%の大幅な増加となっている。半導体等の電子部品の他、船舶輸出が大幅に伸びたことが寄与した。

 アジア向けのうち、中国との収支は、3816億円の赤字で同2.6%増加、3年3カ月の連続赤字となっている。自動車、繊維機械の輸出が減少し、通信機、原動機などの輸入が増加したことによる。(記事:南条 誠・記事一覧を見る

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